(みこと)

オープニング

二人目

七人目

ナコルル登場

九人目

ナコルルの導き

十三人目

エンディング


オープニング

いつも夢の中に出てくる、漆黒の死神……。『この世の全てを無に帰せ』と告げては自分の血が滾(たぎ)るのが分かる。

誰なのですか……。

明らかに違っている、この赤い眼の秘密。枯華院の皆も、覇王丸の叔父様でさえ教えてくれない。

何故なのですか……。

そんな時、あらわれたのが私(わたくし)と同じ瞳の色をした、あの人……。

全身に衝撃が流れる……。運命の出逢い。信じます……。

あなたと旅をして流れ着いたのが此処、離天京。覇業三刃衆・闇の巫女、今の私はそう呼ばれている。自分のなかで

何かが制御不能になりかかっている。恐ろしい……。でも、あの人の為なら何だってしてみせる。

でも……でも……私が私で無くなっていく。別の自分が私を永久に、閉じ込めようとしている。

……助けて! 刀馬様……

……助けて! 叔父様……

神秘的な美しい命(ミコト)の寝顔が苦しそうに魘(うな)されていたが、やがて真紅の瞳を見開き、悪魔的な微笑を浮かべ云う。

「オマエは、しばらく眠っておれ。ワラワが世を無に帰すまではな」





対つむじ風の臥龍(二人目)

臥龍「オゥ!! やっと会えたぜ花嫁!! こう間近で見ると何だか恐ろしいぐらいに美しいのう。まるで、お月さんの様じゃ」

命「そこの男、ワラワに何か用かえ?」

臥龍「オゥ、ワシはアンタが月の出る夜、いつも悲しんでる姿を見とった、オゥ」

命「ほぅ、ワラワの姿をのぅ」

臥龍「何、心配はいらん、オゥ。ワシがきっちり仕置きしといてやる。だから安心してワシの花嫁になれや、オゥ!!」

命「オホホホホ。面白い男じゃのぅ。だが、戯れもたいがいにしやれっ!!」

臥龍「オゥ、何故か雰囲気がいつもと違うのう……?」


命「お喋りは終わりじゃ、男。ワラワが好きなら……黙って死にや」

臥龍「オゥ、女! 黙って聞いてりゃすき放題ぬかしやがって、オゥ。この臥龍様の男っぷり、とっくと見ておけい、オゥ」





対十六薙夜血(七人目)

命「下賤のコウモリがワラワに何の用じゃ?」

夜血「チッ!! その人を見透かした態度、いちいち気に障るんだよ、オマエ」

命「ホッホッホ。ワラワに向かって、よう鳴きよるわぇ。下衆の分際で」

夜血「このアマッ!! その顔ズタズタにしてやるよ」

命「その薄汚く醜いオマエが、ワラワに楯突こうというのかえ」

夜血「邪魔なんだよ。アンタさえいなけりゃ、オレが三刃衆になれんじゃん」

命「ホッホッホ、ぬかしよるわえ、こやつ。お主のような小賢しい虫ケラが、あの方の手足になろうとは片腹痛いわ。

世迷い言もたいがいにしやれっ!!」

夜血「あの方? ……クスッ。アンタ……あの九鬼とかいうダンナに惚れてんのか?」

命「なっ……何をいいやる!! ワラワがそんな事……」

夜血「ハッハッハ、イイツラしてるよ、アンタ。死んでもそのツラぶら下げてられるかい!!」




ナコルルの登場(四人目前)

ナコルル「お願い……。話を……。聞いて……。どうか……お願い……。

私の……話を……。聞いて……」




対眠兎(九人目)

命「黒い影……。闇、凶々しい程の漆黒の闇……貴方は、誰?」

命(悪魔)「ダレ? …………。ソナタがワラワを目覚めさせたのではないかえ……」

命「私があなたを?」

命(悪魔)「気づいておろうが、ソナタの血……。闇より生まれし魂……。ソナタの本来あるべき姿」

命「私の本当の姿……」

命(悪魔)「時は満ちた。仮初めの羽は捨てよ。解放せよ。闇を司る者……。それこそが真実」

命「……いや……嫌です。私はあなたなど呼んでいない!!」

命(悪魔)「ナニを恐れる!! オマエはワラワ!! ワラワを解放しょ!! そして、全てを無に帰せ!! そこに真の闇があるのじゃ!!」

命「た・す・け・て……だ・れ・か……」

命(悪魔)「滅ボセ、全テヲ。殺セ、刀馬ヲ」

命「嫌っ!! 誰か私を助けて。このままでは心が壊れてしまいそう……。……………………………………」

眠兎「殿ごらんち~んっ!!」

命「……………………………………」

眠兎「ほへっ?! 何故に? ……何故に泣いとるの?」

命「……あなたは、誰?」

眠兎「んとね、ミントはミントって言うの、きれいな髪だね」

命「あっ、ありがとう」

眠兎「あんた、ミコトサマ?」

命「どうして、それを?」

眠兎「まりおが、言っとったの。ミコトサマはチョーキレイだって。それにエ~チチしとる!!」

命「クスッ……ミントちゃんんって不思議な子ね」

眠兎「なに!! ぬねの。けど、なんかミコトサマってば、ランポーとにとる感じがするぞっ! なんでか?」

命「えっ? ランポー?」

眠兎「オウ!! ランポーだぜっ。けどランポーにはミントがおるから、だいじょ~ぶなのね」

命「そう、あなたには大切な友達がいるのね」

眠兎「ほへっ?! 何それ」

命「私にはそんな友など……」

眠兎「なら、ミントとミコトサマはモトダチッ!! まりおも、ダチトモっす!」

命「……ありがとう」

眠兎「ガンバレットモダチッ!! ……んっ? ぬなっ!!」

命「ウッ!! ま、また来る、黒い影が……。ミント・ちゃん・に・げ・て……。は・や・く……」

眠兎「ヤヤッ。また真っ黒けなのねっ。何かやな感じっ!!」

命「に・げ・て!!」

『ゴゴゴゴゴゴゥッ!!』

眠兎「なんか、ムカチンだぜい!!」





ナコルルの導き(十人目前)

ナコルル「命……私の話を聞いて。私の名はナコルル、光の巫女。私は貴方のことを知っているわ。貴方の苦しみも知っている。

貴方は今、もう一人の自分と戦っている。命、決して闇の中に吸い込まれないで。貴方は朧と共に破壊の道に進むべき人ではないはずよ。

闇の中の自分に打ち勝って。封印が……強く……なってきた……。もう……だめ……。みこと ……自分を……取り……もどして」




対幽堕(十三人目)

命「誰か……助けて。もう私には止めきれない」

命(悪魔)『全てを無に帰せ』

命「オジイ……サマ……。タ・ス・ケ・テ……。オジイサマ……。ク・ル・シ・イ……。ト・ウ・マ・サ・マ……。………………」

『ゴゴゴゴゴゴゥッ!!』

命(悪魔)「フフフフフッハハハハッ。しぶとい奴じゃ。素直にワラワを受け入れておれば、苦しまずにすんだものをのう。

闇が来る、ワラワを救いに真の闇がのう……。愛しや。黒き者が、ワラワを解放してくれる。永かったわえ。あやつがわらわを封じ込めて
より、

ワラワの魂を解放する者をどれだけ待った事か。来たわえ。来たわえ」

幽堕「…………。オレを呼んだのはキサマか」

命(悪魔)「ああっ。愛しや。あぁ。そうじゃワラワが、ワラワが呼んだのじゃ!! はよう、はようワラワの闇を解放しや!!」

幽堕「オレを呼んだのはキサマではない」

命(悪魔)「なっ!! 何をいいやる。ソナタを呼んだのはワラワじゃ!!」

幽堕「アスラよ。閉ざされし扉、今開かれた」

命(悪魔)「何をいうておる!! オオオゥ!!」

幽堕「あの時滅びるべきだったのだ、かりそめの魂よ。キサマは滅びる為に生まれてきた」

命(悪魔)「お願いじゃ、ワラワを救うてくれっ!!」

幽堕「時を司る者よ、キサマの行く場所は、無限の闇だ」




エンディング


(紅蓮刃を持ち膝をつく幽堕の前に立つ命(悪魔))

命(悪魔)「ホホホホ……。初めからワラワの言う事を聞いておれば、苦しい思いをせずに済んだものを。さあワラワを開放しや。

この煩わしいひ弱な魂を、無に帰して、ワラワを解き放つのじゃ」

幽堕「その娘に転生するつもりか、かりそめの魂よ」

命(悪魔)「まだ苦しみたいのかえ?」

幽堕「オマエは滅びる為に生まれてきた……」

(鎖で縛り上げられた(アスラ時代の技サタナス?)命に伸びる幽堕の魔王印が刻印された手)

命(悪魔)「何……な、何の真似じゃ!! ……!! お、おのれ小賢しい……。クッ……」

幽堕「忘れたのか、時の蛇ユガよ」

命(悪魔)「アッアアア……。クッ……」

幽堕「オレはアスラ(無き者)そして復讐者。オレは甦った。真の闇を統べる者として。無窮の闇に滅びろ」

命(悪魔)「ギッ……ギィィッ……ギッギァァァァ……!! ……………………………………」

(薄紫の靄の中、背を向けた幽堕と正面を向き俯く命)

命(天使)「…………。……アスラ……。……父さまと……同じ名……。……私と同じ……真紅の瞳……。あなたは、一体誰なのですか……」

幽堕「聞け。ここから先は、オマエの来るべき所ではない」

命(天使)「あなたは……父さまなの……ですか?」

幽堕「オレの名はユダ……」

命(天使)「待って……待って下さい……。……お願い……お願い…………………………」

(薄紫の靄の中で横たわる命)

アスラ「……命よ……。我が愛しい娘よ……」

命(天使)「父……様……」

色「ゴメンネ、命……」

命(天使)「母さま」

(命の上空、光の中背に四つの翼を持つ反面のアスラと傍らに浮かぶ色)

アスラ「命よ、聞きなさい……。あの者を追ってはいけない。あの者は私であって、私ではない……」

色「命、私たちのカワイイ娘……。生きなさい、自分の思うように。飛び立ちなさい……その清らかな翼で……」

アスラ「おまえの闇は滅んだ」

命(天使)「父さま、母さま……どこ……」

色「私たちはいつでも……」

アスラ「おまえと共にある……」

(朝焼けのような背景に背に純白の翼を広げ、立つ命)

命(天使)「私と……共に……父さま……母さま……生きてみます……。私の思う生き方で……精一杯羽ばたいてみます。

目には見えない、この純白の翼で……」



    

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