朧衆
幕府の離天京介入で騒乱となってきた三刃衆・本陣。
「朧様! 私たちに殺らせて下さい。必ず、御役目を果たしてみせます!」
好々爺の朧が云う。
「皆の衆よ、期待しておるぞ。役目を成就したあかつきには、ワシの腹心として褒美もつかわす。
心して掛かれい」
朧衆の本領が、今解き明かされる。
(ボスは幽堕。幽堕をボスとするキャラは他は命のみ)
(見習いの巫女二人を従える朧の前に畏まる朧衆)
朧衆「愚か者たちの始末、完了いたしました」
朧「おうおう、ご苦労であった。……さぞ大師様もお喜びじゃろうて」
朧衆「嬉しきお言葉」
朧「ささ、その忌まわしき血を早よう清めてまいれ。祝祭の儀式を執り行うぞ」
朧衆「はい」
(禊の入浴を行う朧衆)
朧衆「……」
(湯船に浸かる朧衆)
朧衆「……」
(巫女の衣装に身を包む朧衆)
朧衆「……どうかしたのですか?」
朧の使者「それが……朧様が皆を集めろと……」
朧衆「分かりました……。すぐに行きます」
(朧の前に控える、巫女姿の朧衆)
朧衆「朧様、皆集まりましてございます」
朧「うむ……皆、今までご苦労であった。だが、我らが国家転覆の計画は失敗じゃ!!」
朧衆「何!! 何故でございます」
朧「先程……刀馬・命の二刃が折れた」
朧衆「そっ……そのような事が? あの刀馬様と命様が……。
ですが、まだ朧様がおられるではありませぬか」
朧「皆には伝えなんだが、大師様があのような御姿になる直前、密かにこの朧に予言なされたのじゃ」
(朧の前に控える朧衆が正面から映る)
朧「『光に包まれし二人の純白なる乙女が我らの前に現れし時、我らの望みは成就出来ぬであろう』と。
そして現に、光の巫女は現れ、刀馬・命の二刃が折れた」
朧衆「ですが……朧様の手で光の巫女は封印されたはず」
朧「我が方術はもう一人の光の巫女により消し去られた」
朧衆「まさか……そのような事が……」
朧「聞くのじゃ、皆の者!!」
(朧衆の前で立ち上がる朧)
朧「三刃衆の内、残ったのはこの老いたワシだけじゃ。最早この先我らが辿るのは地獄への道行き。
皆の力があったればこそわしも、ここまで来れたのじゃ」
朧衆「そのような事、ありませぬ」
朧「今まで、うら若いおまえたちに苦しい思いをさせたのう。だが、これからはこの朧一人で地獄を歩むつもりじゃ」
朧衆「朧様……」
朧「おまえたちは美しく清く、また若い。この先自分たちの思うままに生きるがよい……。では、達者でな……」
(去ろうとする朧を先頭の朧衆が立ち上がり呼び止める)
朧衆「…………。待って下さいまし!! 朧様!! 我らが朧衆、例え地獄の果てまでも、朧様についてまいります」
朧「おお……おまえたち……。分かった、ならばついてまいれ」
朧衆「はい」
(画面暗転)
朧衆「…………。……そんな……。朧様……ひどすぎます……」
朧「やはり、生娘の血は甘いわい」
(闇の中、魔刀と魔槍を操る妖術師状態になっている朧。
その周囲に血の海に浮かぶ切り刻まれた朧衆全員の屍骸)
朧「ヒッ……ヒカカカッ……わしのかわいい武具(やつら)が、血に飢えておったのでな。
うぬらの血でなだめさせてもらったぞ。
……おのれ半蔵……。いつの日か、うぬを血祭りにあげてやるわ!! キヒッ、ヒヒカカカカカッ……」