花諷院骸羅

（天草城＝魔城を臨む崖に立つ骸羅）

骸羅「あの塚が壊れている事とこの城は、何か関係があるにちがいねぇ！」

破沙羅の声「悪夢の幕開けだ」

（破沙羅登場）

破沙羅「フヒヒヒ……。また、悪夢が始まる」

（破沙羅崖から跳躍し去っていく）

骸羅「何、どういう事だ！」

（悪の天草の一枚絵、雷鳴が轟き場面は天草城の天守閣内部。

即身仏が左右端に安置され篝火が燃え、中心部には魔方陣、そこに囚われ浮かんでいる娘（風間葉月）。

背後には封印された鬼（壬無月斬紅郎）の姿が見える。）


天草「我こそが新しき世の理なり。そして、嘆き悲しむ事が人の定めなり！

我に逆らう愚昧の徒よ。何時に死と恐怖の罰を与えようぞ」

（天草の手のひらに浮かび上がった宝珠に、いくつもの魂が封印されていく）

天草「力と魂を束ねたこの宝珠、まさの珠玉の輝きよ」

（敗れた天草がふらつきながら立っている）

天草「まだぞ……汚れきった塵世を浄化するまでは……我は……」

（刃が空を斬る音）

天草「がっ」

（天草真っ二つになり大量の血を噴き出して倒れる。「こんなはずはないのにぃ〜」と音声）

（斬紅郎が登場する）

斬紅郎「敗れてなお強がるなど見苦しい！　強者は語るに言葉使わず！　己の技にて志をあらわせい！！」

骸羅「さぁて、今度こそ大往生させてやるぜ！！」






骸羅「（倒した斬紅郎を前に）こんな凄ぇ奴は始めてだ。……成仏しろよ」

破沙羅の声「フフフ……新しい悪夢の幕開けだ！」

（破沙羅登場）

破沙羅「教えてやろう。狂気の世界と破滅の音を！」

骸羅「ばかやろう！　とっとと成仏しやがれ！」







（崩れ落ちた破沙羅の前に立っている骸羅）

骸羅「！？」

（天草城内部から幾筋もの光が走り、城は崩壊する。）

（離れた崖に立つ骸羅、遠くに上がる煙を見ている。傍らには骸羅が運んだと思われる斬紅郎の躯）

骸羅「ようやくカタがついたぜ」

（ガッツポーズの骸羅）

骸羅「さあて、こっちも片づけるか」

（骸羅、斬紅郎の躯を供養する。躯は消えていく）

骸羅「（一礼して）鬼のオッサンよ、今度こそ成仏するんだぜ」

骸羅「さあて帰るとするか！」

（和狆が登場する）

骸羅「（少し驚いた顔）あ、ジジイ」

和狆「鬼は祓ったのか？」

骸羅「（腕を振り上げる）おう！」

和狆「そうか、そうか」

（和狆突如仰天したポーズで）

和狆「そうじゃ、破沙羅は破沙羅！」

骸羅「…………」

骸羅「（驚いた顔）あ！」

（和狆地団太を踏んで怒り出す）

和狆「この馬鹿者が！　早く捜しに行かんか！」

（骸羅怒鳴る）

骸羅「うるせいこの×××ジジイが。い、今から行こうと思ってたんだよ！」

和狆「この馬鹿者が！　破門じゃ！　破門！」

骸羅「やかましいジジイ！」

（骸羅怒って和狆に殴りかかる。二人の背後に黒子が登場し、審判しようと待ち構えている）