風間と二邪に関する一考察


2006年、風間の弟火月くんのお誕生日(7月21日)記念にアップしました。後付け臭プンプンです。


旧SNK時代の痕跡を微かに引きずりつつ、

主にサムライスピリッツ零(以下零)・天下一剣客伝(以下剣)における

風間兄弟(含む風間一族)と炎邪水邪について、適当に考えてみます。

風間の三兄妹(蒼月・火月・葉月)の血縁関係については

ややこしいので、ここではひとまず置いておきましょう。

まず最初の考察は、火月と蒼月の刀について。


風間火月の武器、「朱雀」。

そしてその兄風間蒼月の武器、「青龍」。

旧SNK時代の刀剣設定によると、両者は「月影」なる人物に造られたとのこと。

ポリサム時代には、レギュラーキャラの武器についても詳細な設定が作られましたが、

「朱雀」と「青龍」に関しては、例えば刀自体にまつわるエピソードや刀工についての言及などは

どうやらないようです。

そして何より、初登場と次回作で刀そのものが別物になってます!



簡単に言うと、風間兄弟初登場の「天草降臨」(2D)時代に比べて

続編「侍魂」「アスラ斬魔伝」(3D)では、朱雀は短くなり青龍は長〜くなりました。

同じ刀じゃないだろ! どう考えても。※0

ゲーム上での変更の意図は不明ですが、多分風間兄弟の特徴の違いを

設定上でもビジュアル上でも明確にするつもりだったのかなー、

くらいのことしか言えません。他キャラで武器が変更になった人って誰もいませんよね。

少なくとも、武器銘は同じでも武器そのものが変わったことは一度もないはずです。

せいぜいヘンゲハンゲザンゲのリーチの変化とか(笑 あ、チチウシ。

他に武器が変わったキャラと言ったら・・・・・・王虎くらいですな。

この人の場合一作ごとに武器変わってるから、ある意味ステータス。


で、話を朱雀と青龍に戻すと、

プレイモア(悠紀)時代になってからこのような設定が追加されました。


古くより風間一族に伝わる刀、火月の扱う朱雀と蒼月の扱う青龍。

詳細は分からない代物だが、どうやら、とある魔を封じるべくして造られたと伝承が残っており、

どうやら今回の任である魔こそ、それであると噂されている。(零・火月公式ストーリーより抜粋)



ここで、炎邪と水邪の登場となるわけです。

おさらいしますと、「炎邪」のそもそもの初登場は「天草降臨」における羅刹火月の必殺技でした。

「炎邪覚醒」。その後、ポリを経て現在まで受け継がれている息の長い技の一つです。
孤月斬やアンヌムツベや燕返し以下略に比べたら全然だけどねそりゃ

MOVIC出版の『侍魂天草降臨 設定資料集』によりますと、

企画段階での技名は「朱雀覚醒」だったようです。

(参考までに、災炎は「炎呼」、台場草津もとい大爆殺は「轟炎拳」となっていました)


ちなみに「水邪」の初登場は、侍魂ことポリサムにおいて、羅刹の風間蒼月に追加された技名です。

「水邪覚醒」。ポリサムにおける風間兄弟の”覚醒”と名のつく技はどちらも、

必殺技の性能を上げる効果を持っていました。

裏設定・もしくは詳細設定としてはともかく、

ゲームでは言葉のみの存在だった「炎邪」「水邪」が表面化してきたのは「アスラ斬魔伝」。

「羅刹」に属する技の名前から、「羅刹」のキャラクターそのものを表現する言葉へと格上げされました。

「炎邪火月」と「水邪蒼月」です。

以下、公式サイトより抜粋。(要エンコード)

風間火月 羅刹 炎の化身(炎邪)

強さを求めるあまり、朱雀に宿る力に支配され暴走してしまった姿である。
火月としての自我は薄れ、炎をまとい本能の赴くままに荒れ狂う姿は、まさに炎邪と云うに相応しい。
体に浮き上がった文様と、獣を思わせる爪が特徴である。

風間蒼月 羅刹 水の化身(水邪)

蒼月が青龍に宿る力を取り込み、水邪の力を暴走させた姿である。
蒼月の自我は明確に存在しており、水邪の意識の表面を覆い、それを支配している。
その身に水をまとい、蒼月の意志によって操られる水邪の力は凄まじい威力を発揮する。




「アスラ斬魔伝」においては、「炎邪」「水邪」は風間兄弟の持つそれぞれの”刀(朱雀・青龍)に宿る力”

であることが定義されています。

そして、アスラから数えて5年、SNKプレイモアが発表(制作は悠紀)した

2Dとしての第5作目「サムライスピリッツ零」において、

これらの設定を踏まえて誕生したキャラクターが、お馴染み(笑)炎邪と水邪というわけですね。



両者は、零設定では「魔界に封印されていた精神体」となっています。

「各地で起こる異変(闇キ皇によって引き起こされた)に呼応するように眠りから目覚め」、()内管理人

自らの「肉体」であるところの風間兄弟を探している、という位置付けです。

理由は、精神体である故に長い間人間界にいると消滅してしまうため。

実際に、水邪の方はゲームオープニング(公式ストーリー)において、

偵察に来た風間忍者の身体を乗っ取っています。※1

そして、彼らが狙うのはそれぞれ、炎邪が火月の、水邪は蒼月の肉体。

何故なら、火月は炎邪が、蒼月は水邪が、それぞれ人間の女性に己の肉体として産ませた子である故。

以上が、時代的に初代サムライスピリッツよりも以前と設定された零において、

旧SNK時代のストーリーと整合させるべく組み込まれた設定です。


そして零の続編であるサムライスピリッツ天下一剣客伝、以下剣において炎邪と水邪に関する新たな設定、

すなわち闇キ皇の昔の憑代となった武侠・劉雲飛を封印した八人の弟子のうち二人であったことが

明らかになりました。

ですので、炎邪と水邪は元を突き詰めれば人間であり、

魔界にいる以前は中国(唐)の出身であったことになります。

ここで、一つの新たな疑問が生まれます。

すなわち、本来中国出身である炎邪・水邪と、

火月・蒼月・葉月の所属する肥前の風間一族(または風間忍群)との関係です。



零において、風間三兄妹と炎邪・水邪の物語に登場する新たなキャラとして、

風間一族(もしくは風間忍群)の頭領もしくは上忍と目される月心斎が加わります。

旧SNK時代の「天草降臨」における蒼月のエンディングにも、蒼月から報告を受ける役割の”上忍”

(電波新聞社刊・スタジオベントスタッフ発行『ALL ABOUT SNK対戦格闘ゲーム1991-2000』表記による)が登場しており、

月心斎がこの”上忍”と同一人物であるか否かは不明ですが、

とりあえず零より後のシリーズでは風間忍群の頭領は月心斎で統一されています。

月心斎の、風間兄弟や炎邪・水邪に関係する台詞・記述を以下抜粋します。


火月の公式ストーリーより

「我らが一族に伝わる封魔の秘術、ついに試される時が来たようじゃ。

浅間山(炎邪が出現)、十和田(水邪が出現)より出でし魔は日輪の地へ向かっておるとの報があった」

()内は管理人が追加

(火月ら三名が旅立った後)

残された月心斎は、過去に思いを馳せる。火月と蒼月を引き取った昔に――――。

「火月・・・・・・蒼月・・・・・・。己が背負いし宿命に・・・・・・呑まれるでないぞ」



炎邪のエンディングより

(火月が炎邪に乗っ取られた時)

「炎邪が肉体を手に入れた今……我らの打つ手は尽きた……。
もはや……この國が焦土と化すのは時間の問題であろう。
やはりあの時、兄弟を消しておくべきであったか……我が一族の悲願……ここに終いえたり……」


蒼月のエンディングより

(事が片付いた後蒼月に)

「此度の活躍、見事であった。もし、あやつらが完全に覚醒しておったら……。じゃが、もうその心配も無用。
炎邪と水邪の力を封じし今、封魔の術を継ぐ我らの役目も。終わりと言うわけじゃな。
葉月の力も…二度と使われることはあるまいて。これからはお前達兄弟、平穏に暮らすがよい。
ふぁっふぁっふぁ……。」




また、剣における風間兄弟のエンディングにおいては炎邪・水邪に対し「風間一族の怨敵」(月心斎の台詞)

「我らの怨敵」(蒼月の台詞)という表現が使われ、

そして炎邪・水邪の封印もしくは滅殺が「風間の悲願」であることが、零に引き続き繰り返されています。

これらから推察して、

1.炎邪・水邪は風間一族(代々?)の宿敵と目される存在であったこと

2.月心斎は、火月と蒼月を炎邪・水邪の子であることを知りながら引き取った可能性があること

が、おぼろげながら浮上してきます。



ここで、風間兄弟と炎邪水邪の間を繋ぐもう一つの要素、封魔に着目してみましょう。

零において風間一族(風間忍群)は、「封魔の秘術」を持つと設定されています。

公式ストーリーでは「封魔の秘術」は”一族に代々伝えられており”、「試す時が来た」という表現からして、

おそらくは代々、封印から目覚める炎邪・水邪に対抗するために(のみ)伝えられたと考えられます。

そして、炎邪と水邪を封じるために用意されていた刀が、「月影」の造った朱雀と青龍(2D時代のもの)であり、

実際に「封魔の力」を持つ風間葉月によって(冒頭の風間忍者たち・エンディングでの月心斎たちでは歯が立たなかったので

彼女の力はおそらく風間一族一と言っていいほど強大である、と言えると思います)
、炎邪と水邪の封印がなされます。

元々中国出身、その後は魔界へ下った炎邪と水邪がどのように、

日本の風間一族と関わりを持ったのかについては何一つ推測材料がありませんので、

以下は、完全に管理人の憶測となります。

・風間一族は、古来より封魔の力を奉じてきた一族だが、それ故に水邪と炎邪に目をつけられた。

理由その1:炎邪水邪は何がきっかけかは不明だが日本に渡ってきて、主に九州で暴れた。
ので、風間一族と対立することとなった。

理由その2:炎邪水邪は、自身の肉体となる人間をそれなりに選び抜き、
選ばれたのは風間一族の人間だった。(理由は推測不可)
よって、風間一族は炎邪水邪に対し自衛策を講じる必要が生じた。


こんな所でしょうか、風間一族が炎邪水邪を怨敵とする理由は。



最後に、風間三兄妹が炎邪水邪のことをどの程度まで知っていたかを考察してみます。

蒼月:おそらく全て(水邪・炎邪が自分たちの親であること)を知っている。
葉月の封魔の力を磨くことにも一役買ったのでは?と思われる。

葉月:少なくとも、炎邪と水邪が兄たちを狙っていることは知っている。
この魔物たちと兄たちの繋がりについて知っていたかは
推測材料がないため、断言はできない。

火月:全く知らない。どういうわけか知らされていない。
蒼月が教えなかったのは弟への気遣い、それ以外の意図、またはその両方が
考えられる。封魔の術が得意でない、と零のストーリーで明言していることから、
それで教えられていない可能性もあり。


うーん、長くなりましたがちゃんとした結論は出たんでしょうか。


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※0 あくまで憶測ですが零からの流れを考慮に入れると、

炎邪・水邪の封印のために用意された刀が、2D時代の「朱雀」と「青龍」であり、

3D時代の長刀と小太刀は同じ名前の別物の刀、と考えることもできます。とゆーかベツモンでしょーが。普通。

ありがちに、3D時代の方はそれぞれ「玄武」と「白虎」だとかw

または、何かの理由で天草〜侍魂の間に、「月影」(同一人物でなく例えば名前を継いだ刀鍛冶だとか)に朱雀と青龍の鋳直し、

もしくは新規の制作を依頼した可能性もありますね。



※1  一つ疑問なのは、炎邪の方にそういった描写が見られないことなのですが。

オープニング(公式ストーリー)では自分を封じるために来た風間忍者たちを焼殺して飛び立っていますので。

これは風間忍者がやって来る以前に誰か他の人間を乗っ取っていたか(出現した村を全焼させる前にそうしていたことも考えられます)、

もしくは水邪はその辺りに用意周到であることの対として、炎邪はそういったことを考えないで精神体のまま行動している、

とも取れます。炎邪は「性格は豪快」と設定されていますし。

しかし一方で、「本能の赴くままに行動する。」と続いていて、本能に従うなら自分の存在が危うくなる行動は避けるようにも思いますが。