初代サムライスピリッツ作曲者コメント
作曲者からのコメント
日本古典芸能を愛し、音楽で日本の素晴らしさを世界に広める為に日夜努力を重ねている「日本を学ぼう会」会長の、
たてのりおです。今回「サムライ スピリッツ」を担当するに当りPAPAYA氏と2人でどのようなアプローチで曲を作って行くかを、
毎日毎日考えて悩みぬいた結果「環境的」「日本音楽の追求」と言う2つのテーマで進めて行こうと言う事になりました。
(結果、企画側の希望とかなり違うスタイルになってしまいましたが……)とは言うものの、この2つのテーマはとても
難しく、最後の最後まで苦労を重ねて命がけで産み落とした作品です。ですから今回の作品は、誰に聴かせても恥ずかしくなく、
自分自身心から好きになれた作品に仕上がりました。満足満足。では、「半蔵、シャルロット、ガルフォード、狂死郎、
タムタム」を担当して下さったPAPAYAさんです。
『武士道とは死ぬことととみつけたり……』本当に死ななければならないかなと思っちゃいました。
死ぬだの命がけだの大げさな奴らだとお思いでしょうが、一度曲がぜーんぜんでてこない状態のある晩、三途の川の夢を見ました。
川の向こうから聞こえてきた音楽を書き留めたものが”狂死郎”の曲です。(ホントーです)これだと思いガバッと起きた時
右手は勾玉を握っていました。(これはウソです)他の曲も”シャルロット”の曲を除いては不思議な体験がキッカケとなり
出来上がった作品です。日本の伝統音楽は危険です、PAPAYAでした。
てな具合で今回は2人とも非常にアブナイ状態で仕事をしていたわけです。
私たてのりおは、この危険な日本音楽を3作もこなし、現在脱穀の様になっています。
もし4作目を担当する事があれば、今度こそ三途の川の向こう側を見て来る事になるでしょう。
(TATE&PAPAYA”崖っ淵人生〜命からがら、サラリーマンミュージシャン”でした)
〔壱〕静と動(タイトル)
聴いてのとおり、タイトルだ! えっ?わからないってか〜?そいつは困った。
よ〜く聴いてみよう。そうすれば原曲で使ってたフレーズが何処かで聞こえてくるはずです。
でもコードや攻勢はほとんど変えてないんでわかる人にはわかると思います。
ゲームミュージックに雅楽なんて意外でしょう(前の雰囲気が好きな人、ゴメンなさい)。
でも言っときます。この曲は聴けば聴くほど味が出るスルメのような曲なんです。
この曲が気に入った人、これであなたも大人の仲間入りです。
〔弐〕男節 日・月 (覇王丸、橘右京)
オリジナルでは、「日」と「月」という2バージョンでしたが、今回は2つまとめて、
というよりも今回のバージョンが元々の「男節」な訳です。
この曲を作曲する時は、北の方の海(行った事がないので、とにかく何処かの海)をイメージして作ろうと思い、
一生懸命イメージを沸かしてみると、出るわ出るわ、漁師姿の北島三郎さんや額に汗した鳥○一郎さんが私の頭の中を所狭しと走り回る姿が。
”ちが〜う”という事で、歌舞伎を見に行き「日本」にドップリ浸っている所で一気に書き上げました。
良い曲でしょう。
〔参〕竹林 (柳生十兵衛)
果てしない静寂 鳥達の囀り 幻想のような自然 竹の香り 風の調 緩やかなる時の流れ いざ立ち上がれ
お〜十兵衛十兵衛(じゅ〜う〜べ〜)十兵衛 十兵衛 じゅ〜う〜べ〜え〜 僕らのみ〜か〜た〜 (ア〜ア〜ア〜)
や〜ぎゅ〜じゅ〜べい〜イ〜 〔柳生十兵衛 応援歌 ( )コーラス〕
〔四〕影 (服部半蔵)
この曲、ガルフォードのイントロだったって知ってたかな?雰囲気は違うけどメロディは同じだったんです。
最初の開発段階では、2曲がひっついてたんだけど、前半後半のカンジがそれぞれすごく良かったんで2曲にわけようという事になった訳です。
アレンジでは、半蔵エリアの空気感が伝わればと思って作りましたが、どうでしょう?
〔五〕鮪 (ガルフォード)
人気のこの曲、元々PAPAYAさんの曲なんだけど、ボクもこの曲が結構好きだったんで一生懸命作りました。
ギターのバッキングがTA−TE−NORIO風に変わってるでしょ。一番心がけた事は、この曲のノリを絶対に変えないで自分の色を出す事。
結構、苦労しました。ガルフォードの曲を愛する人は大勢いると思いますが、このアレンジも同じくらい
愛してもらえたらと思っています。
〔六〕自然の宴(ナコルル)
難しいですねぇ。女の子の曲というのは。開発時にはハマリまくりました。一番最後に作った曲なんで、頭の中がイッちゃってる時だったんで、
すごく時間がかかりました。でも、1週間ほど過ぎたある日、急にすらすら〜っとメロディが出始めたと思うと
2時間ほどで出来上がっちゃいました。おかげで素直な良い曲が出来たと思います。アレンジでは、オルゴールで
複雑なナコルルの心を表したつもりです。
〔七〕異人(タムタム)
作曲者のPAPAYAさんに「このアレンジ、どうしましょう」と相談すると「好きにしちゃって」と淡白な答。
う〜ん、困った。あ〜でもない、こ〜でもないと試行錯誤しているうちに、こんなん出ました〜。
原曲とあまり変わった漢字がしないと思ってるあなた!私の”パグナ・パグナ”をプレゼントしましょう
(この曲は、これで一番良い形なんです)。でも、決して妥協はしておりませんので、あしからず。
〔八〕舶来女(シャルロット)
実際にパイプオルガンで弾いて欲しかったんですが、それは無理だとわかってたのでコツコツと打ち込みました。
この曲をアレンジするなら絶対にパイプオルガンでやろうと心に決めていたので、張り切ってアレンジを始めると難しいのなんのってそりゃもう。
普通の人ってあまり真剣にパイプオルガンの曲って聴いた事がないでしょう?
でも、仮にも音楽の仕事をしている私がそんなんじゃいけないと思い、短期間でしたが勉強をして必死に書き上げました。
楽しようなんて100年早いですね。
〔九〕魔(不知火幻庵)
こんな曲を作っていると、いつかバチが当たりそうで怖いです。今(12月)、吐くほど忙しいのは、このせいかもしれないと考える今日この頃です。
世界中の不幸を全て背負っているかの様に一つ一つの仕事を死にそうな顔でこなしています。
この曲を作り終えた頃には、原因不明の病に侵され病院のベッドで「あの葉が落ちると私も死ぬのね」と、センチになっている
自分の姿を想像すると恐くなって、いつもよりも早く曲が出来ました。めでたし、めでたし。
〔拾〕勾玉(千両狂死郎)
”魔”とは対照的に明るい曲です。こういう曲はホッとしますねぇ。不況といえども平和な日本。よろしいじゃないですか。
この曲については、色々なアイデアが浮かんだんですが、アルバムの品が落ちると思い、このバージョンにしました。
アイデアが出ないのも困りますが、アイデアが出すぎるのも困りものです。良かったら盆踊りにでも使ってやって下さい。
目指せ、菊○丸!
〔拾壱〕王虎(王虎)
しっとりと聴いてやって下さい。一番気に入っている曲です。重々しい感じの曲でしたが、こんなアレンジもあるんです。
自分で言うのも何ですが、ボクはこの曲のメロディが大好きなんでシンプルに聴かせたいと思い、ピアノとヴァイオリン2人だけの
アレンジにしました。最高に良い曲に仕上がってると思いませんか?
たまには、こんな曲も良いんじゃないでしょうか?
〔拾弐〕大地(アースクエイク)
パソコン通信をしている後輩から聞いた事なんだけど、「アースクエイクの曲をコピーしてる奴がいましたよ!」って
教えてくれたんです。完コピ出来るもんならやってみろってんでい!まあ、コピーされる事はとてもうれしい事ですねえ。
諸君!頑張ってくれたまえ。そんな事はさておき、この曲を作る時は久々に純粋なロックが書けると重い、張り切って作ったんですが、
ひねくれ病のせいで変拍子を入れてしまいました。
〔拾参〕暗黒(天草四郎時貞)
オーケストラです。というよりもオーケストラ風アレンジですね。元々、オーケストラを意識した曲じゃなかったんで、
すごく苦労しました(困っている時に協力してくれたSHIBA−POOHさん、ありがとう)。
内容的に濃い仕上がりになってるでしょ。一番時間と体力をかけて作った曲なんで、たまに夢にも出て来たりして困る事もありますが、
とにかく、おもしろい曲に仕上がってホッとしています。
〔拾四〕祭り奏でる(スタッフロール)
あ〜しんど。何がしんどいかって? このコメント14曲分も書く事がしんどいっつ〜の。
まぁ最後の曲やし、びっと引き締めて書こか。この曲は、アイデア一発!「和風とアシッドジャズを混ぜるとおもいしろいかな」
と思い、自分の趣味の叛意で作った曲です。アレンジ盤ではピアノソロやオルガンソロなんか入ったりして、
三味線もベンベンベンと激しいフレーズを叩き、それに絡む様にピアノのバッキングが入るという何とも不思議な攻勢にしました。
何でこんな曲が出来たかというと、私が天才だからです。ア〜ッハッハッハ〜!?
(コメント:TAKE-NORIOさん)