◆44(キャラクターデザイナー)が語る(ナコルル)◆
作画にあたって、ナコルルの普段着は、今までみなさんが見てきたイメージとは
あえて変えてあります。ナコルルの赤いリボンは、あくまでも闘うからこそ
きゅっと気合を入れてしめていたのであって、今作品で垣間見られるように
(本来なら)普通の女の子として生活したかったであろうというのが、
普段着のコンセプトになっています。
◆セイウチ(プロデューサー)が語る(レラ)◆
企画当初をのぞいて、私はほとんど製作現場に入っておりませんが、
個人的に近しく感じるのは「謎の美少女」ことレラさんです。
ナコルルの放つ「光」、そしてそれが落とす「影」としての存在には、
とても深い、暗い魅力を感じます。私が基本的に根暗なものですから、
モノをつくるとネガティブな仕上がりになってしまうので、現場には
あまり近づかないようにしています(参考までに「サムスピ」シリーズで
一番深くかかわってつくったキャラクターは「首斬り破沙羅」です。
血の涙を流しつつ、亡き恋人の冥府に求めて現世を漂っているという
設定です。でも、人気者でいてほしいです)。
美少女ゲーム雑誌『Raspberry vol.1』 2001年7月4日ソフトバンク発行より
「ナコルル あのひとからのおくりもの」「サムライスピリッツ(SNK)」プロデューサー
セイウチ氏 インタビュー
―今回、ナコルルをモチーフとした作品となっていますが、なぜナコルルなのですか?
セイウチ:ほかのキャラクターを登場させることもできたんですけど、
僕自身がこれまで広くアピールする作品ばかりを手がけてきたので、
狭い部分を深く掘り下げる作品を作りたかったんです。
彼女(ナコルル)を選んだ理由は、掘り下げやすいキャラクターでしたし、
掘り下げなくてはいけない部分もいっぱいありましたから。
これまでは「格闘」でしたから、彼女の動いている姿は表現できましたが、
目の動きや髪の毛の流れる動き、吐息、歩く音といったことが表現できていなかったので、
その手法として、アドベンチャーゲームをベースとすることにしました。
―それでも、単なるアドベンチャーではありませんよね。
セイウチ:僕らもそうですし、「サムスピ」ファンや初めてそれに接してもらえる
ユーザーさんにしてみると、インタラクティブなものを期待されると思うんですよ。
そこで、アドベンチャーの中に細かい「遊び」を盛り込みました。
ただ、言い訳はできないんですが、いろんな事情から、もう少し突っ込みたかったという気持ちもありますね。
とにかく、僕は「髪の毛の流れる音を表現したかった」というのがあったんです。
やっぱり「音」は重要なパーツだと思っていますし、本来は目を閉じていても
ナコルルが感じられる作りにしたかったんです。
もともとフルボイスですし、インターフェースをもっとシンプルにしてしまえば
可能だったんですが、徹底できなかったんでそれをアピールできませんでしたが。
―ストーリーは、「サムスピ」と対比させるとどの部分になるのですか?
セイウチ:一作目(サムライスピリッツ)の戦いから帰ってきたところから、二作目
(真サムライスピリッツ覇王丸地獄変)の終わりまでをトレースしています。
―今回、マナリなどの新キャラが登場しますが、どういったキャラですか。
セイウチ:マナリは、自分からはあまり前に出てこない、そして男の子にも女の子にも
好かれる女の子です。僕ら(サムスピスタッフ)がキャラクターを作ると必ず影の描写に
こだわってしまうんで、外部のスタッフを入れずに僕らだけで作っていたら、
彼女は登場していなかったでしょうね。
―今回の作品を制作する上で、おもしろかったエピソードとかはありますか?
セイウチ:このインタビューが出る頃にはゲームも発売されているはずですが、実は、
これからSNKさんのチェックがあるんですよ。
シナリオ内にお風呂のシーンがあるんですが、これをSNKさんにどう納得していただこうか
考え中です。これが発売段階でどうなっているかが楽しみですね(笑)。
胸とかは全然出ていないんですが、湯けむりの量が増えているかも知れません。
―では、最後にこの作品の見どころを。
セイウチ:「ヒトはゲノムの入れ物」という考えがありますよね。
僕は感的にもその考えに共感するんですが、この物語でもその感覚を常にベースに置いてあります。
皆さんが7歳の子供として、自身で感じてください。
……ちょっとマジメに答えすぎかな(笑)? 何はともあれ泣いてください。
美少女ゲーム雑誌『コンプティーク』2001年8月号 角川書店刊
資料提供:R.Aさま