音について
コメント:山手安生氏による(取扱説明書より抜粋)
全体の統一感に一番気を配ってすべての曲を作曲しました。
無駄な音は排除してシンプルに情景、心情を表現することに重点を置き、主張しすぎず、
しなさすぎず、を心掛けた汎用曲。ストーリー上の意味を理解した上でしっかりと役割を持たせた専用曲。
それぞれ心を込めた良い雰囲気の曲になっていると思います。その中で数曲を抜粋して紹介しましょう。
◆自然の宴〜慈愛の風〜
ナコルルファンにはなくてはならない曲ですね。
今回のアレンジはしっとりとナコルルの心の内をシンプルに表現してみました。
◆歩み
勇気の沸く曲という依頼を受けて制作した曲です。在り来たりなアプローチ(ロック系のメジャーな感じ)
はこのゲームには合わないのでアコースティックな力強さで雰囲気を出しました。
◆風の使命
何の捻りもなく素直に作りました。錆の部分でナコルルのテーマメロディーを入れることで自然に感情移入できる曲に
仕上がったと思います。
◆待つのじゃ!
彼女達(ヒババ・ウババ・ミババ)を見て、何か野暮ったさや怪しさの中に、
神秘さを持ったコミカルなキャラという印象を最初に持ちました。
だからこんな感じになりました…ってな具合です。ムックリの音が結構良い感じに曲を引き立たせてくれています。
◆忍び寄る脅威
実体を未だ未定内段階で魔の根源を感じた時の心理状態を自分なりに解釈した結果、こんな曲が私の頭の中で流れました。
琵琶の音色って、心の奥底から不穏感や閉塞感を訴え掛ける…そんな気がします。
◆巫女の伝承唄
このゲームで核となる曲。心に残るメロディー、やさしさと厳しさが共存する伝承唄、をテーマに作りました。
今回一番苦労した曲です。この曲なくしてこのゲームは成立しない!と言う重圧のが有りましたが、メロディーだけで無く
全ての楽器に巫女の願い、祈り、を込めることが出来たと思います。
クリククについて
■クリククとは?
クリククはナコルルの故郷カムイコタンに伝わる民族楽器で、木の筒でできた木管楽器です。
マヤ文明に端を発するオカリナと同様の形状をしていますが、オカリナが陶製なのに対しクリククは木製であり、
そもそもの発祥は良く判っていません。
大きさは普通15cmくらいで、表面は木目のナチュラルなものから、全面に模様が描かれたものまでさまざまです。
元々は祭事などの儀式に使われていました。劇中あなたはクリククを入手する事で、新しいものがたりを展開する事でしょう。
■クリククの吹き方
劇中では、マナリがあなたに吹き方を教えてくれます。
孔は左側から数えて、向こう側左から一孔〜三孔まで、手前側左から四孔〜七孔があります。
それぞれを左手人差し指・中指・薬指、右手人差し指・中指・薬指・小指で押さえます。
孔を押さえるのは指先でなく指の腹(指紋の中心あたり)が適しています。
■クリククの取り扱い方
クリククはすべて木でできています。北の国の厳しい気候に対応するために、クリククは作られたときに樹液と灰の混成物によって
保護されていて、日々の細かい手入れは必要ありませんが、すべての木製品(家具や琵琶等の楽器)と同様に、熱と乾燥を嫌います。
暖炉裏など(の)近くや、直射日光の下での演奏・保存は劣化の原因となります。
また、時々クリククの筒の内側を湿らせるために水を流すと、より長持ちします。
サウンドトラックのスタッフコメント
今回、この作品の歌曲を作曲するに当たって非常に悩んだのは、「巫女の伝承唄」がゲームにおいてかなり重要な役割を担っており、
代々巫女に伝わる歌の要素と現代におけるメッセージ性をどう共存させるかという所でした。
「心に残る旋律」を原点に立ち返り捜し求めた結果、自分自身納得のいく叙情的な曲が出来上がりました。
「二番目の奇跡」は最初ここまでポップなメロディーでは無かったのですが、プランナーとの打ち合わせを交わしていくうちに今の
メロディーになりました。ある意味「巫女の伝承唄」よりも曲のイメージを作りにくかったかもしれません。
「明日の果て」は挿入歌ということもあり、シンプルな構成となっています。でも、デュエットって事もあり、
作詞のたきもと氏と何度もやりとりをしながら、詩とメロディーのマッチングに一番気を使った曲です。
ゲームBGMの方でもそうですが、この作品で「カムイコタン」を自分なりに音で表現する事で、少しでも成長できた様に思います。
サウンドクリエイター 山手安生
今回思ったのは、ゲームにしても映画にしても、『歌』の説得力がいかに大きいか…ということでした。しかも、歌が核になっている
作品ですから、シーンの成功失敗のキーを握っていると言っても過言ではないかもしれません。
作詞をする時も、その曲の流れるシーンの台詞がどういう流れになっているか考えながら書いてみました。
そのあたりも気にしていただけると幸いです。
たきもとまさし(シナリオ担当)
この世界には、数え切れないくらい多くの人がいます。その中からたった一人と巡り会えるなんて、
それだけで奇跡だと思いませんか?
そして、運命の人も、自分を好きになってくれるなら…。『二番目の奇跡』っていうのは、つまり、そういうことです。
解説するだけ野暮でしたね(笑)。
松川しゅうさく(シナリオ担当)