絶命奥義制作秘話 執筆者:久苑氏


絶命奥義の演出はSPの開発が始まった2003年10月ぐらいから、

ディレクターと企画さんなどで延々と会議が行われていました。

ただ、絶命奥義事態は零の時から企画としてはありました。

零の時は、無の境地だけでプログラム側が手が一杯だったのと、期間的にも、

画像素材的にも実装は不可能でした。


SPでの絶命奥義の制作は、進行的にかなり右往左往していて、

年末最後の会議では、個別演出を無くして、全キャラ一緒の演出に変更するべきという意見もありました。

その時、ミヅキの進行具合も芳しくなかったので、意見としてはとても正当性がありました。



一時は年末に無くなったはずの絶命奥義でしたが…2004年1月下旬。

外注のプログラマさんたちと絶命奥義の制作に取りかかりました。

去年までの仕様を破棄し、新たに仕様を作り変えました。演出案はだいたい決められていたので、

それに合わせて、全キャラの絵コンテを切る作業と、

プログラム的に可能になるような仕様をだいたい一週間ぐらいで作成しました。



演出案と、それに伴うアクションは予めそれなりに用意されていたので、

プログラム側との調整とそれに必要なアクションを作成するという作業でした。

外注のプログラマさんや、アシスタントしてくれた内部のプログラマさん、企画さんのおかげで、

2ヶ月という短期間でなんとか作り上げました。


SPの絶命奥義とはそんな状況で作られたものとして、各キャラの個別コメントを楽しんでいただけると幸いです。



【覇王丸】天覇凄煌斬

このキャラだけは初めからできていたので、すごく楽でした。でも、相手の武器はやっぱり壊したかったです。



【ナコルル】トウルセ サンペ キク ムツベ

空中に相手を投げて、それを追うというアクションなので、相手との同期がとても大変でした。

1F単位で修正する必要があったため、実機確認がとても面倒でした。

止めの長い演出(ボイス「自然の怖さ〜…〜さよなら」)ですが、ディレクターから長いので消せと言われてました。



【リムルル】コンル ストゥ ポロ

相手を氷やられにするプログラムが面倒でした。

ですが、それは外注プログラマさんの愛の結晶で見事な氷が相手に付きました。

後は楽でした。でも、コンルハンマーは大きすぎだと思いました。



【服部半蔵】禁忌 もず砕き

骨の絵を出すだけで、後は楽でした。ただ、骨の絵が大きくて(特に頭蓋)実機で確認した時に、

笑いが起きるほどでした。



【ガルフォード】絶・ヘブンズウルフ・バッドファング

ガルフォード本人は手間が掛からず、楽でした。パピー(オプションキャラ)を使うプログラムはすごく面倒なので、

半ば完成は諦めていました。企画さんのパピーに対する愛により、完成できました。



【千両狂死郎】独壇場”鬼の舞”

たくさん色々な画像素材を出して、豪華にしました。ただ、絶命奥義専用の背景上での処理落ちが酷くて、

このキャラのせいで、絶命奥義専用背景は残虐レベル1でしか拝めなくなりました。

それでも、処理落ちしますけれど…。



【橘右京】夢想残光霞

楽でした。2P側だと俳句が反転してしまうので、その修正が面倒でした。



【牙神幻十郎】札死舞

アクション作るのがすごく面倒で、更に相手との同期は…思い出したくもありません。



【首斬り破沙羅】獄門

アクションやプログラム的にはとても楽でした。その割りに大変なインパクトがあって、

企画としては成功だとは思います。



【緋雨閑丸】鬼の記憶 無限砲

幻影斬紅郎が無限砲撃つだけのアクションだったので、楽でした。

ただ、飛び道具での絶命奥義はちょっとミスするとストップバグを引き起こすので、

ある意味本当に絶命奥義でした。



【花諷院骸羅】カチ割るぞこらぁ!

これは骸羅に熱い想いを抱く企画さんがアクションを全部作ってくれました。

なので、あまり修正はせず、逆に最後のボイスでエコーにしたりと、更に熱いモノに昇華させました。

相手を石にする時にプログラムでパレット替えをするのですが、一定条件で変な色になったりと、

パレット関連がとてもやっかいでした。



【柳生十兵衛】柳生新陰流秘伝 無二羅天

アクションを作るのが大変でした。プログラム的には大変な所はなかったです。



【シャルロット】スプラッシュグラデーション

天草降臨時の武器飛ばし技をそのまま流用したので、とても楽でした。

馬で轢き殺す案とかありましたが…。只単に、良い案が浮かばなかっただけです。

最後のワンアクションでドレスに変身するとか聞きましたが、それも知らない内に無くなってしまったようです。



【タムタム】アハウ・カスティーガー

楽だったので、仮面をランダムで二種類にどちらかを被るようにしました。

…本当はヴ○ン○イアの○ナ○リスのファラオマジックのような技になる予定でした。

仮面を替えるごとに相手に様々なダメージを与えて、止めは天空に持って行くという感じでしたが、

時間の都合で、簡単なものになってしまいました。



【風間火月】挟撃、火達磨大突進

蒼月と一緒に六道烈火を決めるという兄弟舟という技でしたが、プログラム上、スペック上、

グラフィック容量上不可能なので、火月と分身で相手に突進という苦々しい結果となりました。



【風間蒼月】湖月・水鏡の陣

蒼月も案はたくさんあったのですが、やはり火月と同じような理由で分身乱舞になりました。

担当の企画さんがとても悲しい顔をしていたのが印象的でした。



【羅刹丸】臓腑抉り

零の時から心臓の素材はありました。

なので、新規絶命奥義お披露目用として、一番最初にまともに動いたキャラでした。

覇王丸にも絶命奥義っぽいものはありましたが、あれは零の時の副産物だったので、

本当の絶命奥義としては羅刹丸が一番初めです。

曲担当の方にお願いして、心臓を握り潰すSEをわざわざ作って貰いました。



【レラ】イルスカ エムシ ネワ シキテ

このキャラが一番最後まで手間が掛かりました。狼を動かすだけで力尽きました。

なので、贖罪の意味で決めポーズは二種類にしておきました。

バッテン攻撃はあの角度以上に角度を上げると、今度は相手に当たらなくなるので、

あんな風になってしまいました。

やり直したいキャラ、ナンバーワンです。



【炎邪】三千大千世界全焦土


これも零の時から素材があったので、比較的初めに完成しました。

アルカディアの絶命奥義の初公開では、この絶命奥義が載っていました。というより、

それ以外は殆どまったくの未完成でした。

外道をどうやって燃やそうという話になりましたが、結果首だけもぎ取って燃やすという荒業でしのぎました。



【水邪】平等カツ神聖ナル裁キ

相手を投げるアクションと、相手との同期が大変でした。それ以外は特に問題はありませんでした。



【慶寅】百花繚乱

アクションを作るのと、相手との同期がすごく面倒でした。それ以外は特にありませんでした。



【劉雲飛】天罪喪門

相手を飛び越すアクションが完成するまではとても面倒でしたが、それができた後は、

特に大変な事はありませんでした。



【真鏡名ミナ】ニルヤ・カナヤの呪縛

当初の企画では、本当に画像的に幾数本もの矢が相手に刺さるというものでしたが、いざ作ってみると、

それがハードのスペックを超え、実機が落ちてしまうという状況でした。

企画さんがそれでかなり参っていました。

画像を飛ばさずに、ミナが矢を放つ振りと相手に矢が刺さってる風な演出に変更した結果、問題なくできました。



【妖怪腐れ外道】外道の晩餐

このキャラも演出で文字が出るので、プログラムフォローが大変でした。

あとは、外道の口から吐き出す様々な食べかすのパレットに対してのプログラム修正が面倒でした。



【兇國日輪守我旺】黄泉社

当初は衣装を脱ぎ捨ててフンドシ一丁で、正拳突きを相手に連続で当てて、粉微塵にするという豪快な技でした。

グラフィック容量と諸事情で、鎧で串刺しになりました。



【天草四郎時貞】汝、懺悔せよ。我、滅罪せん。

天草の玉のアクションが面倒でした。それに相手を同期させるのも大変でした。



【壬無月斬紅郎】無限流極意 無双剣

ボスの中でこのキャラだけ技が新規画像でした。そのため、完成は最後の方でした。

レーザービームは普通に受け止められたみたいで良かったです。



【羅将神ミヅキ】狂魔祀怨獄

専用画像もなく、画像が全部揃うまで待っていたので、プログラムは完成していても、

画像がないという不運なキャラでした。

ミヅキっぽい絶命奥義にはなったと思います。すごく楽でした。




〔鷹覇蛇足コメント〕

コメントの大半が”面倒” ”楽”ですか(笑

シャルや我旺の原案を見た限りじゃ、絶命奥義ってそもそもギャグだったんですかねぇ。

真面目に考えてそうだったんなら我旺さん、容量足りなくて良かったねつーか。

でも火月の兄弟舟六道烈火はちょっと見たい。かも。

あと驚いたのが狂死郎の項の”絶命奥義専用背景”のこと。

ひょっとしてこれ↓なのかな? 某所さまよりいただいてきました(^^;)



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