また安直に書記の神トート。エジプト図書館言霊の概念を表す創造神・プタハ

紙」を意味するPaperの語源は、エジプトのパピルスから来ているというのは有名な話ですね。
それとは一切関係なく、(笑)ここではへるば・あどがエジプト関連書物で心に残ったものとか参考文献とかを、
気まぐれにふらふら書いていこうと思います。更新は不定期。
(小説の場合はネタバレ気味に書いていることもあります。未読の方はご注意ください。)

王の眼  
江森備 角川書店 現在3巻まで刊行
なんでも作者は、「三国志」を孔明中心にやおいチックに味付けした、「天の風・地の華」シリーズで有名な方だそうで。へるばはそちらは未読です。が、この「王の眼」はエジプト神話がモチーフということで、早速読みました。ホルスとセトの例の話(笑)がモチーフ!まさにやおい!これは読まない手はないですよ、なんつって。

ストーリーは思い切りはしょると、主役のハル(モデルはホルス)が父を殺害して王位を乗っ取ったセティ(当然セト)に対して戦いを挑みます。が、話が進むにつれ周囲におだてられることもあってか増長し、とても感情移入できない嫌な奴になります。少なくとも私にとっては。各地から女の子集めまくってハーレム状態だわ○ェラは強要するわ(苦笑)むしろ、冷厳な一方で周囲にちゃんと気配りしているセティ王(女性は相手にしないらしい)と、そのお相手の宰相・ネフェルトゥムのカップルコンビの方が見ていてよっぽど心温まります。

ついでに、セティが殺害したハルの父・ウセル王(モデルはオシリス)は、外面はよくても実は愛人(セティの宰相)の額に自分の名の烙印を押すような外道だったことが2巻終盤で明かされます(^^;)あの父にしてこの子ありってワケですか。よって、ハルを押し立てる一派に負け処刑宣告を受けるが、ハルの母アセト(モデルはイシス。2巻では、140Pまで出番なし)に助けられ都落ちするセティ王に対し、へるばの同情は怒涛の如く強まっていくわけです。
(笑)

この後のエジプト神話での展開を考えると、ただではすみそうにありません。
ピーがピーしてピー(古)なワケですし。3巻の発売を心待ちにしているへるばです。


余談。やおいの元祖(自称自任)栗本薫が帯に推薦文書いてるんですけど、人の本の推薦に(笑)ってつけるのはどーかなーと思った。



はい、とゆーわけで(何がだ)第三巻が出ていたことを白ハスさまのありがた〜い情報提供で知りました。
確かにお高い。1巻が1,200円で2巻が1,300円だったのに対し、3巻はいきなり1,900円です。一体何が起こったのでしょう。(笑)
ま、それはそうと3巻では第2話が開始され、若き日のセティ王とハルの父ウセルが、古代エジプトをモデルにしたタウィの国の王女・アセトに群がる求婚者たちに混じっている様子や、アセトの一族「ラァ・アトゥム家」の複雑な事情などが語られていきます。ふむふむ。
んがしかし・・・・・・。
セトがモデルのはずのセティ王が受けだよ!惚れホラレちゃってるよぉ!!


へるば・あど、ダメージポイント300。
い、いや読みますよ。ちゃんと読み通しますよ。私だってオタク女性の一員なんですからね。これっくらいのこと慣れっこ、あはあははは(壊)


・・・・・・実はまだ途中なんです。完読後のレビューは↓にて。

王の眼 第三巻 第二話


超古代クリスタルミステリー

ロバート・テンプル著 林和彦訳 徳間書店
とりあえずわたくし、発売元の徳間書店さんに一言言いたいです。
なんでこんな怪しげな邦題つけんねん!
おかげで、私が買い求めたジュンク堂では「精神世界」のコーナーに置かれてたんですよこの本。
お読みいただければわかりますが、
この本はおおむね非常にまともで、興味深い歴史上の仮説を提供している本なのです。
主張を一言で表すと
「古代世界にも望遠鏡や眼鏡・また鏡を利用した光学兵器が存在した」というもの。
古代文明から、数々の凹凸レンズが発見されている、というのですね。
上流階級のため精密な芸術品を作る職人たちが老眼対策に使用していたり、
また、ローマ皇帝ネロは近眼であったらしい可能性などの小ネタも光ります。
で、この本にエジプトがどう関係しているかというと、アンクの正体だったり「カー」の光学的解釈だったり、”ホルスの眼”の実態やセト神の新解釈だったりetc、
まぁなかなか面白いので、一読されて損はないと思います。
ただこの作者さん、こういう本を書かれる欧米の人にありがちというか、
「精神世界的」な主張もところどころ顔を出してますが。
じゃあ結局分類は正しいのかな?


エジプト人(上巻・中巻・下巻)

ミカ・ワルタリ
飯島淳秀訳
”角川文庫限定復刻”の3巻セット小説。
もう印刷されてないんだろうなぁ、多分。
近隣の中規模本屋さんには奇跡的に残ってましたが。この本じゃないですけど。

舞台は新王国時代のエジプト。
主人公の名はシヌヘ。
どうも一生を旅に過ごすことになったらしい彼の、回想の形で物語は進みます。

読んで感心したのは、古代エジプト時代について作者はかなり調べ上げたらしく、細かな風俗まで書き込まれていて、非常に古代エジプトの雰囲気が出ていること。
まぁ、歴史的・考古学的観点で言えば誤りもたんとあるのでしょうが。後述参照。


【上巻の簡単なストーリー】

第一章「葦舟」

町医師センムトと、その妻キパの息子として育ったシヌヘの幼年時代。
しかし彼は、赤ん坊の頃葦舟に乗せられて流れ着いた身の上で、夫妻の実の子ではないようです。
私塾で読み書きを習い、絵に才能を持つ少年トトメスと親友になり、父の手伝いをし。
その中で、落ちぶれた傷病戦士インテブと出会ったり、脳外科医のプターオルと出会ったりします。

第二章「生命の家」

医者になるため”生命の家”で修行を積む青春時代。
高級娼婦ネフェルネフェルネフェルと出会って指輪をもらったりします。淡い思い出って奴ですね。
”太陽神(アメン・ラー)”の姿を見るため他の医者志願者たちとお篭りをするのですが、仲間はおろか司祭さえも神をまともに信じていない姿に失望を覚えるシヌヘでした。
成績優秀なシヌヘは既製の医療に飽き足らず、
医術について教えにないことを質問しまくって周囲に煙たがられます。
幻滅していたところに子供時代の親友トトメスと再会しますが、彼もエジプト美術の型以外のものを認めない風潮に幻滅していました。二人で自棄酒あおるところは人生の悲哀を感じます(涙)
その時のトトメスの台詞。
「我が友シヌヘ、おそらく僕たちは世の終わりを見るために生まれてきたのだろう。世界はもう老衰しているからだ。ピラミッドの建設から千二百年もたっている。こんなことを考えると、僕は顔をおおって、子供みたいに泣きたくなるよ」
その後シヌヘは夜のテーベで適度に遊んで気晴らしすることを覚え、煙たがられることもなくなったのでした。


第三章「情熱のテーベ」

話は急展開。現ファラオ、アメンホテプ3世が崩御の時を迎えます。外科医プターオルと再会し、助手を任されたシヌヘはその臨終に立ち会うことになります。
ここでは、平民の出である王妃テイイの凛々しい姿が光ります。また、国を継ぐことになる皇子が登場。後のアメンホテプ4世=アクエンアテンですが、既にこの頃からアテン神を信仰している模様。物語中の説明によると、彼らの一族が古来から信仰している神とのことですが。
アテンって、そもそも円盤の意味でラー・ホルアクティの賛歌に登場していた言葉らしいんですよね。
でまぁ、シヌヘはこの皇子の神アテンが彼に降りてきた現場に立ち合わされます。わざわざ砂漠にまで行って。そこに、鷹に導かれて一人の男が登場します。彼の名はホルエムヘブ。ツタンカーメン、アイの後にファラオとなる人物ですね。
物語中では、彼はこの後将軍として召抱えられます。

で、シヌヘは医師として開業し、カプタという片目の奴隷を小間使いにおき、まずまず順調な生活を送ります。ある日、軟弱な軍隊に腐っているホルエムヘブが訪ねて来てシヌヘを遊びに誘います。そしてシヌヘは遊郭で、青春の日の淡い思い出、ネフェルネフェルネフェルと再開しました。
が。

第四章「ネフェルネフェルネフェル」
↑最も美しい者、としてこう呼ばれているらしい

一度はネフェル(長いから略)とゴールインして有頂天になるシヌヘですが、この女もう一回や(中略)してほしければといってわざわざ代書人まで立てて、まずはシヌヘの家と診療所を分捕ります。
シヌヘは同じ手に次々引っかかり、ついには老いた両親の住む家と二人が買っていた墓まで売り渡してしまいました。

アホだこの男。
ネフェル(略)はシヌヘをすっからかんに搾り取ったあと家人に命じてシヌヘをほっぽり出させ、以後話には登場しません。
非常に悲惨な目にあったシヌヘですが、

あまりにアホすぎて
これっぽっちも同情する気になれません。

女にのぼせて自分の財産潰すのは自業自得だが、
親の物まで全部売り渡すな!!
ていうか途中で気づけよ。や(略)気なんて相手にこれっぽっちもないって。
哀れなのはシヌヘよりも両親で、彼らは自分たちのものでなくなった家の中で、なんか今流行の(−−;)ネット心中手法的に火鉢を焚いて自殺します。
代書人に、息子シヌヘ宛の手紙を託して。
”お前を恨んではいない、窮地を助けてやれなくてすまない、
お前を息子に持てて幸せだった、お前も窮地を乗り越えて幸せになってくれ”という内容の、父センムトの手紙は涙なしには読めません。
シヌヘはカプタの貯めていた小金を元手に、何とか両親を自分の手でミイラにして、王墓の側に葬りました。この時、零れ落ちた副葬品らしいスカラベを手に入れます。そして彼はエジプトを離れることを決意します。

この章では、即位したアクエンアテンが恩赦で罪人の解放を行い、その恩恵に浴した男とシヌヘの出会いのエピソードも印象深いです。男はかつて自分を陥れて破滅させた金持ちの隣人の墓を暴き、シヌヘもそれに与ります。
男の台詞より:「つくづく思ったね。この世の中じゃ、金があって勢力のある奴の権利しか、ほかには権利なんてものはねえのだとね。貧乏人の権利なんてものは、王の耳まではとどかねえのだよ」
いつの世でも同じなのだなぁ・・・・・・。(悲哀)


第五章「カビリ族」

シヌヘの奴隷・カプタは実にいい味出してます。過去にはいろんな無茶もやり、現在も主人の小金を掠め取ったり、腹を立てるとそこらのものに八つ当たりするなどのリアリティ溢れる(^^;)描写も光りますが、シヌヘのために貯めた小金を全額提供したり、シヌヘのあげたスカラベをご利益抜群と信じて拝んだりする姿も良いです。
シリアに渡り、世間知のあるカプタの助言もあって医師としてまずまずの成功を収めたシヌヘ。
そこに戦争が起こり、シヌヘは将軍としてやって来たホルエムヘブと再会します。駐屯地はエルサレムです。アクエンアテンの常軌を逸した政策(敵を殺すなとかね)や、アテン神への賛歌が披露された後戦闘光景。相手のカビリ族に対し勝利を収めたエジプト軍ですが、ここでカビリ族の”唯一の神”を冒涜するシーンが入ります。つまり、カビリ族はどうやらユダヤの民らしいのです。軍医として活躍したシヌヘにホルエムヘブは、周辺諸国の王族や、大まかな軍事状況の偵察・・・・・・要はスパイですね、の役割を依頼します。


第六章「偽王の日」

シヌヘはバビロニア帝国の首都・バビロンに到着。そこの若き少年王、ブルナブリアシュの歯痛を治して信頼を得ます。このわがまま少年王は子供の頃からライオンと友達です。その飼われているライオンが、治療の最中王を助けようとして、治療室の扉に体当たりをかましてるシーンがファンタスティックでよろしいかと。
そして、国は「偽王の日」という祭りを迎えます。そして、カプタが”偽王”に選ばれます。これは国中で一番の馬鹿を一日王の座に据え、王はその奴隷となりますが、祭りが終われば殺してしまうというもの。なんかどこかで聞いたことありますね。シヌヘはこの事実と、王に後宮の女性を打ち据えて楽しむサド趣味があることを知って彼に見切りをつけ、カプタと王の元に連れてこられていた女性・ミネアを策を用いて助け出し、国外へ脱出します。これまたどっかで見たようなシーンですが、なかなか手に汗握りますね。ここで上巻は終わりです。


中・下巻紹介はまた後ほど。


【特別編・山岸涼子「女王ハトシェプスト」との比較】
(近日公開予定)


死が最後にやってくる
 DEATH COMES AS THE END

アガサ・クリスティー 早川書房
準備中



エジプト神話とクトゥルフ神話

ロバート・ブロックを中心として
準備中




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