闇の只中に、彼は横たわっていた。

暗黒の視界に一筋の光が差し、やがて光が闇を侵食していく。

目を開いた。

うっすらと認められたのは、細身の槍を手にした女性の姿。

「ヒルダ様……?」

一度意識の消える直前まで想っていた姿を思い起こし、その名を呟く。

しかしその影は、彼女よりずっと小さなことがわかる。

視界の中心にはっきり見えてきたのは、一人の幼い少女。

その手には、小ぶりな黄金の槍が握られている。

肩には一羽の鳥が止まり、膝には一匹の猫が寝そべり彼を見ていた。

「おかえりなさい」

幼い少女が言った。

「あたらしくわざわいがくるの。おねがい、ごっどうぉーりあーたちよ」

そして彼の目を覗き込んで、言葉を続けた。

「あすがるどをまもって」



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