大熊猫(ター・ションマオ)
大陸(中国)から武者修行に来た武道家。
下膨れの顔に線のような細い目、異様に長い右腕など、その得意な風貌は見るものすべてを驚かす。
密入国した離天京そのものが、日本だと思い込んでいる。
ある日、離天京にある森の中で、偶然見てしまった妖精(ナコルル)に一目惚れ、それ以来、修行そっちのけで彼女を探し求めている。
変質的な執念深さを秘めており、万が一、彼女が他の誰かに見つかってはいけないと勝手に思い込み、森に入る者を逆恨みしては成敗している。
また、この男が使う独特な武術は、片方の手から伸びる伸縮自在のつめで変幻自在に敵を切り刻み、大陸では『肉裂き大熊猫』と呼ばれ恐れられている。
「きっと妖精さん、誰か奪おうとする。妖精さんは、僕だけのモノ……そうだ! 彼女は僕に守ってほしいんだ……。
きっとそうなんだ……。きっと……きっと……」
妖精さんはきっと喜んでくれる。その顔を想像し、ほくそ笑みながらター・ションマオが、闇へと消えていく。
大熊猫「僕はあまり、この街が好きじゃないのさ。なぜならここには、アブナイヤツがうろうろしてる。
早いとこ僕の妖精さんに関する情報収集をして立ち去らないと、キケンがアブナイ。
おっ!! はっけんはっけん……んっっっ!! ヤッ! ヤバイ、あの顔はキケンだっ! とっても、サディスティック&ダーティーな感じがする。
しまったっ!! 隠れる所がナイィィィッ! そうだ、目立たないようにしよう。目立ってはならないんだっ……来たっ!…………」
夜血「…………?」
大熊猫「…………」
夜血「おまえさぁ? 道の真ん中で何かたまってんだよ。どけよ」
大熊猫「…………」
夜血「どけっていってんだよ!!」
『ガスッ!!』
大熊猫「ウッッッ!!…………」
夜血「鏡餅か、オマエ。焼かれて死ねよバカ」
大熊猫「…………。行ったな……。ケ・ッ・タ……ケッタ。ケッタ!! ケッタ!! 今、ココ! ココォッ!! ケッタ、ゼッタイケッタ!
何てヤツだ! いつか殺ってやる、絶対殺ってやる!! だからイヤなんだ、だからイヤなんだぁこんな街っ!
フン!! そんな事より妖精さんだ!! …………。だけどケッタよ、アイツ! 音がしたよ『ガスッ』って。ここに『ガスッ』ってぇ〜。
フン!! そんな事より妖精さんだ!! ……おっ!! はっけんはっけん。んっ!? 外国人のヤングメンのようだ。こいつにしよう。
ヘイッ!! そこのヤングメン!」
灰人「……?」
大熊猫「ボクの名前はター・ションマオ。コードネームはパ・ン・ダッ! でっ、キミの名前は?」
『バキッ!!』
大熊猫「……イッイタイィィィ……」
灰人「何だぁ、テメエ?」
大熊猫「なっななな、何で殴るんっ!!」
『バキッ!! バキッ!!』
大熊猫「……キュウゥゥ」
灰人「大福のくせにしゃべんな、コラ」
大熊猫「なっななななぐったぁ!! 『バキッ!! バキッ!!』って!! !!!!!」
『ガスッ!!』
大熊猫「!!!!! ヒッ!! ヒィィィーーッ!!!」
灰人「しゃべんなっていってんだよ」
大熊猫「ヒィィィーーッ!! キッキッキライダッ!! オマエラナンテ、大キライダァーーーーーッ!!!」
大熊猫「え〜っ妖精さん、妖精さん、来てください、来てください。こちらパンダちゃん、あなたのパンダちゃん……。
駄目だぁ。妖精さんとの連絡が完全に途絶えてしまったぁ!! いけません、いけません。こんな事ではいけません。
今ごろは僕がいなくて、困ってるに違いない。……んっ?! あの人に、訊ねてみるに違いない。シタタタタッ!!」
蒼志狼「…………」
大熊猫「ヘイッ!! そこのヤングメ〜ン。ボクの名前はター・ションマオ。コードネームは……パンダの『パ』、
パンダの『ン』、パンダの『ダ』。3つ合わせてパンダ。よろしく!!」
蒼志狼「…………」
大熊猫「このぉ〜、シャイなあんちくしょう! そんなキミに質問さ!! ボクの妖精さん見なかった?」
蒼志狼「…………」
大熊猫「クッ、クールなあなたに首ったけ。そんなキミに質問さっ!!(リベンジ) ボクの妖精さん見なかった?」
蒼志狼「…………」
大熊猫「……キミ……。三度目は辛いよ。まさか! まさか僕の事、無視してる?」
蒼志狼「…………」
大熊猫「……もしかして、本格的に無視……してる?」
蒼志狼「…………」
大熊猫「オッオマエ!! ま、まさかメガ無視してるのかぁ!!」
蒼志狼「…………」
大熊猫「くっ悔しすぎるぅー!!」
蒼志狼「すまん、寝ていた。何か用か?」
大熊猫「ヒッ、ヒッヒッーーーッ! キッキライダ、キライダ! オマエナンテ大キライダァーーーッ!!!!」
大熊猫「ヤバイ、激ヤバだ!! 本格的に妖精通信が通じない。このままでは、妖精さんにキラワレテシマウ〜!」
眠兎「オッパイ、ボイーン!! オケツはプリプリ!!♪ ひみつの花園、まっクロケェーッ!!♪」
大熊猫「しっ!! しど〜う、しど〜う!!」
眠兎「ホェ?!」
大熊猫「な、な、何て歌を歌ってるんだ、オマエッ!! 良い子の歌じゃないだろうが!!」
眠兎「オッ!! ブタマンだ、ブタマン」
大熊猫「しっ! 失敬だぞ、オマエ〜ッ!!」
眠兎「ふ〜ん、ニクマン?」
大熊猫「いうなぁーーーーーっ!! 大体オマエは何だ!! 世界観を無視しすぎだ! ていうかキャラ的に変だっ!」
眠兎「あんね、リューキューにいる鳥は飛べないって、オジイがいってたの。鳥のくせに変だよなっ!!」
大熊猫「えっ?! 何の事?」
眠兎「それじゃあれか? 遠くても『ソバ』と同じだなっ!!」
大熊猫「何? 鳥じゃなくて、ソバ? 何いってんの、キミ?」
眠兎「チューカマンは、さしずめあれだな」
大熊猫「エッ? ボクの事、何?」
眠兎「デブチンのバカチンだな」
大熊猫「キィーーーーッ、さっきから何をいってんだ!! オマエなんて殺ってやる。この場で殺ってやる〜ぅ!」
眠兎「ウケケッ。赤くなったらアンマンだよ、これじゃ」
(森の中で浮かぶ聖霊ナコルルの前に、覇王丸が腕組みして立っている。)
覇王丸「もう20年か……あの頃が懐かしいぜ。なぁ、ナコルル」
ナコルル「長い時間が過ぎてしまったのですね。今はもう、邪悪な意志は去りました。
しかし、自然の驚異はこれからです。人が自然のささやきに耳を傾けない限り……」
覇王丸「自ら救った命を、自らの手で滅ぼしてしまう。人間の業か……」
ナコルル「でも、リムルルが……あの子がいます」
覇王丸「ああ、あいつは昔と何も変わっちゃいねえ。オレの姿を見て『よっぽど苦労してるんですね』だとよ」
ナコルル「クス……あの子らしいです。あと少したてば、自分が長い時間、眠り続けていた事に気づくでしょう」
覇王丸「……また、行ってしまうのかい」
ナコルル「……はい」
覇王丸「……なぁナコルル……いいのかい。多分アイツは自分の故郷でおまえを待ってるぜ」
ナコルル「……もう……私はあの人と同じ時間を歩む事はできないですから……」
覇王丸「そうか……達者でな」
ナコルル「…………」
覇王丸「ナコルル、人間ってのは案外、捨てたもんじゃねえぜ。おまえが……そうだったように」
(ナコルルの哀しげな表情)
ナコルル「…………」
(去っていくらしいナコルルに手を振る覇王丸の背後の木から、ターションマオが覗いている)
大熊猫「さようなら……ボクの妖精さん……。ボクは君を忘れない……いや、忘れてなるものか。
絶対忘れてやらないさ!! 忘れない、絶対忘れない。ブツブツブツブツ……」
(草原で、精霊たち?に見守られながら草木を植えている少女芽衣※の側にやって来る大熊猫)
芽衣「…………。よいしょ、よいしょ。元気に育ってね」
大熊猫「……イイ……何かイイ……。フフフッ……フフッ、イイよ、キミ」
芽衣「……こ、こんにちは……」
大熊猫「フフッフフフフフッ……好き……」
(芽衣に近づいていく大熊猫、後ずさる芽衣)
『ヒュ〜ュ〜ゥ』
芽衣「…………」
大熊猫「フフフッフフフフフ」
リムルル「どいてぇ〜、どいて下さぁ〜〜い!! キャッ!!」
『ドッカン! △□☆○!!』
(猛スピードで丘を駆け下りてきたらしい?リムルルが大熊猫にぶつかって尻餅。吹っ飛ばされ前のめりに倒れる大熊猫)
大熊猫「フギィッ!!」
リムルル「イッタァ〜イ……ゴ、ゴメンナサイ」
大熊猫「ヒッ!!ヒィィィィィーーーー!!」
※芽衣は朧衆の一人で命の世話係鞠男(マリオ)の妹。眠兎の友人で眠兎のエンディングにも登場。
『蒼紅の刃』公式ガイドブックの設定書には
「心のやさしい良い子」「とても人見知りがはげしく、人と話すのが大のにがて」「自然を愛する」
「大自然のオアシス・ガーデニング少女」と書かれている(P137)。
ちなみに彼女の足元にいる精霊のようなものには「球根チャン」と書かれている。