陀流磨

オープニング

三人目

六人目

十人目

エンディング



オープニング

離天京を自由に出入りしている世捨て人で、日本中を放浪している老人『陀流磨』。浮世離れした性格をしており、

乱鳳と眠兎を拾って育てるが、放浪癖は直ることなく離天京にいる時のみ、親代わりを務める。無類の酒好きでもある。

しかし、乱鳳も眠兎も厳しいや寂しいなどといった言葉は、一切云うことはなく成長していった。

二人は陀流磨のことが好きであり、陀流磨も二人が大切である。陀流磨の寵愛ぶりの表れとして自分の趣味である、小さな木彫りダルマの

首飾りを贈っている。

彼の過去を知る者はなく謎の多い人物ではあるが、その正体は、悪党一家を次々と壊滅に追い込んでいった『伝説の居合いの達人』である。

離天京の誰もが、このヘンテコな爺さんに、そんな過去があるとは思いもしていない。また、陀流磨自身も、語ろうとはしない。

ある日、陀流磨が放浪の旅から帰って来た。

離天京が悪劣な環境(暴力・強盗・殺人・洗脳など)になるつつある事を悟り、元凶である三刃衆を成敗する為に伝説の封印を解く決心をする。





対大熊猫(三人目)

陀流磨「ふぉふぉふぉ。この森だけは昔と変わらず美しいわい。しかし、この島からもいずれは、緑が消えてしまうんじゃろうのう」

大熊猫「はっけんはっけん、侵入者はっけん!! シタタタタタタタタタタッ」

(ガッ!!)

大熊猫「!!!! イヒィィィィ――――!!!!! 指ッ!! 指ッ!! ガッって、ガッってぶつかった!! しかも小指、小指だよーーー
っ!!」

陀流磨「オヌシ、さっきから何をやっとるんじゃ? 一人で」

大熊猫「指ーーーっ指打ったのっ。ここの根っ子でガって!」

陀流磨「バカでもちと気の毒じゃわい」

大熊猫「クゥーーーーッ小癪な根っ子だ、こうしてやる。こんちくしょう! こんちくしょう! フフフッやってやったぞ!」

陀流磨「木にあたるとは、やはり大バカ者じゃわい」

大熊猫「キッサマーーッ人の事バカっていったなーーっ。バカといったヤツがバカ! ……なら、ボクもバカ?」

陀流磨「かまってられんわい」

大熊猫「まっ待てーーっ!! オマエ、なんて恐ろしい顔をしているんだ。さては、妖精さんを連れ去ろうという気だなっ!」

陀流磨「フン!! 顔の事でオヌシにとやかくいわれとうないわい」

大熊猫「フフフフ、ひがんでるひがんでる、フフフッ」

陀流磨「それにわしはおなごにはもてての、ほれこの首巻きも、佐渡のアケビちゃんが編んでくれたんじゃ。フォフォフォ」

大熊猫「……悔しい、悔しいっ!! くしゃみがとまってしまうぐらい悔しいっ!! ジジイのくせに許せないっ!! 成敗してやる」

陀流磨「『ジジイのくせに』は余計じゃわい」





対ゴロツキ(六人目)

陀流磨「何と!! この村までこんな有り様とは……。もうじきこの離天京には、わしの住む所がなくなりそうじゃわい。

さぞかし小鬼達も悲しんどるじゃろう。難儀な事じゃて」

ゴロツキ「…………。キサマッ!! ここは我が輩のナワバリと知っての狼藉かっ!!」

陀流磨「オヌシのなわばりじゃと?」

ゴロツキ「そうに違いない。だから、さっさと出て行けといいたい」

陀流磨「そうさのう。村がこの有り様では、オヌシの様な、ならず者が横行しても仕方あるまいて」

ゴロツキ「ならず者とは、無礼に相違ないぞ!! 貴様よもや無宿者だなっといいたい」

陀流磨「フォフォフォ、まあそう怒るでない。時に相談じゃが、ちと酒代をめぐんでくれんかの?」

ゴロツキ「キサマ!! どこの馬の骨とも分からんならず者に酒代をたかるとはっ!! 勤労勤勉せよといいたい」

陀流磨「悪いが人の生き方に干渉せんでくれんかの」

ゴロツキ「何!! その傍若無人の数々、堪忍袋の緒が切って落とされたぞ。この福助ヤロウといいたい」

陀流磨「間違えるでない。わしゃダルマじゃ」




対七坐灰人(十人目)

お侍「ゆっ許してくださいっ!!」

灰人「オメエよ、この是衒街でいい思いしといて、金がね~だと?」

お侍「すっすぐに払いますから!」

灰人「あほか、テメエ。もう一回またぐらからやり直せ」

お侍「ひっ、ひぎぃーーっ!!!」

灰人「たとえ侍に生まれようと、血は赤なんだぜ」

お侍「殺さ……ないで」

灰人「あがくな。見苦しい」

『ドスッ!!』

お侍「グェッーーーーーッ…………………………」

陀流磨「人を殺めて、楽になったかの?」

灰人「何だと」

陀流磨「命の火を消し続けて、オヌシの苦痛が癒せたかと聞いておるのじゃ!」

灰人「誰だ、テメエ?」

陀流磨「若いの、オマエさんはギラギラし過ぎとる。まるで、その抜き身の刀そのものじゃわい」

灰人「テメエ、誰に口聞いてんだ、コラ」

陀流磨「遠い昔、オマエさんそっくりにギラギラした男をわしは知っておった。まるで自分の苦痛が癒されるが如く人を殺め続け、

最後に残った物は孤独と絶望というぬぐう事の出来ない苦痛だけじゃ」

灰人「何がいいたい、ジイサン」

陀流磨「抜き身は諸刃の剣じゃ。わが身も傷つける。若いの、己を見てみよ。傷つき疲れきった心と体を」

灰人「死に口上はそれだけか」

陀流磨「聞け! 世界は広い。オマエさんの苦痛など米粒にも満たぬ小さな事じゃ。海を渡れ。ここから遥か東に自由を司る国がある」

灰人「自由の国だと?」

陀流磨「若者よ、今はまだ絶望の時ではない!!」

灰人「ジイサン、寝言は寝ていえ」

陀流磨「………。止まれぬか、その道行き」





エンディング

(火の見櫓で寛ぐ陀流磨と乱鳳)

陀流磨「乱鳳や、もうすぐ来るぞ」

乱鳳「何がだよ?」

陀流磨「おまえ、忘れたのか……。南国大浜風じゃよ」

乱鳳「いつだよ!!」

陀流磨「そうさのう……この雲の流れからすると明日の朝じゃろうて。急いで支度じゃ。

琉球へは、長旅じゃろうからのう」

乱鳳「ちぇっ! こんな時にまた眠兎のヤツ、遊びまわってるんだぜ。オジイからも言ってくれよな」

陀流磨「フォッフォッフォッ。あれはあれで、生きる事に一生懸命なんじゃよ」

乱鳳「オジイがそんなだから、眠兎は毎日、能天気な事ばっか言うんだよ」

陀流磨「そんな事より、早よう呼んでこんか」

乱鳳「ちぇ、まあいいけどな……」

(乱鳳が去った後、ひとり酒を嗜む陀流磨)

陀流磨「……乱鳳よ……そんなあの子だからこそ、今のおまえには必要なんじゃよ……。そして眠兎もおまえがいなくては、この世で生きては行けんのじゃ。

おまえたちには新しい場所が必要なんじゃ……。光ある場所が……。

絶望と希望はいつも隣り合わせ。この街はおまえたちには暗すぎるわい」


(晴れ渡った空の下、海に臨む崖から飛び立つ乱鳳と眠兎)

乱鳳「……んっ? ……来た!!」

陀流磨「では二匹とも、しっかりと生きるんじゃぞ」

『……ゴゴゴゴーーービュ~ゥビュ~~ン!!』

乱鳳「イヤッホーッ!!」

眠兎「ホヘェーーーッと」

陀流磨「…………」

(見送る三人……陀流磨、毬男、芽衣)

陀流磨「行ってしもうたわい。ワシの可愛い小鬼たちよ……。嵐になんぞ、負けるでないぞ」

毬男「本当に行ってしまったんですね」

芽衣「ミントちゃん……。メイはずっと友達だからね」

(毬男と芽衣の兄妹に向き合う陀流磨)

陀流磨「オヌシたち、これからどうするのじゃ?」

毬男「妹と二人で街に残ります。僕の手でこの街を建て直したい」

芽衣「メイは……この街を緑でいっぱいにしたいです。人が……優しくなれるから……」

陀流磨「そうか、二人とも頑張って生きるんじゃぞ」

毬男「おじいさんはこれからどうするんですか?」

陀流磨「そうさのう、この世にはまだこんなワシでも必要な者がおるでの。また旅(股旅)を続けるわい」

毬男「そうですか……お元気で」

芽衣「さようなら……おじいちゃん」

陀流磨「オヌシらも、達者でな……」

(ひとりちっぽけな筏?で海へと漕ぎ出す陀流磨)

陀流磨「フォッフォッフォッ……今日は良い日和じゃて。久しぶりに、佐渡のアケビちゃんの所へでも行ってみるかの。

待てよ、京の雛奴も捨て難いのう」

(皆が去った崖の上、細い切り株の上に置かれている陀流磨お手製の小さな木彫りダルマ)

陀流磨「生きるとは……難しい問題じゃて」




ここに登場するゴロツキ、明らかにストーリーモード・ゲーム中とキャラが違いますが(笑)

『剣客異聞録蘇りし蒼紅の刃公式ガイドブック』(講談社)P140「設定資料の館・エキストラ」で

「ふんどし兄弟(3人)」という多分設定のみ?キャラが紹介されており、注意書きには「ゴロツキにおともさせられる時がある」「しゃべり方が変!!」とあります(抜粋)。

設定画の吹き出しには「カッコ良いと言いたい」「我らをふんどし兄弟と知ってのろうぜきか!と言いたい。」と書かれてます。

つまり、ここでの語尾はふんどし兄弟のものです。


ちなみに漫画版『甦りし蒼紅の刃』では、ゴロツキとふんどし3兄弟は一緒に行動し凜花にイチャモンをつけて返り討ちにされ、その後無限示に斬られちゃってます(笑)



    

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