眠兎(みんと)
オープニング
三人目
五人目
九人目
十三人目
エンディング
ある日のことでした。眠兎は街で『毬男(まりお)』という、滑稽な小男と出逢いました。
眠兎は、すっかり気が合って毬男ととお友達になりました。
毬男は手先が、とても器用であり、自分の身の回りの物はすべてお手製でした。眠兎は毬男が大切に持ち歩いていた、
手製の『紅葉の猫鎚』(モミジのネコツチ)を気に入り、毬男からもらいました。
出会って間もなくの事、毬男は主人の家に帰るといって、眠兎の前から消えてしまいました。眠兎は、もう一度毬男に会いたいと
お星様にお願いします。手掛かりといえば……
「オイラは朧衆の一員で、三刃衆の命様のお世話係してる。命様は、優しくて綺麗な女(ひと)なんだ」
という毬男の言葉だけなのでした。
かくして眠兎の大冒険が、いま始まろうとしていました。
大熊猫「ヤバイ、激ヤバだ!! 本格的に妖精通信が通じない。このままでは、妖精さんにキラワレテシマウ〜!」
眠兎「オッパイ、ボイーン!! オケツはプリプリ!!♪ ひみつの花園、まっクロケェーッ!!♪」
大熊猫「しっ!! しど〜う、しど〜う!!」
眠兎「ホェ?!」
大熊猫「な、な、何て歌を歌ってるんだ、オマエッ!! 良い子の歌じゃないだろうが!!」
眠兎「オッ!! ブタマンだ、ブタマン」
大熊猫「しっ! 失敬だぞ、オマエ〜ッ!!」
眠兎「ふ〜ん、ニクマン?」
大熊猫「いうなぁーーーーーっ!! 大体オマエは何だ!! 世界観を無視しすぎだ! ていうかキャラ的に変だっ!」
眠兎「あんね、リューキューにいる鳥は飛べないって、オジイがいってたの。鳥のくせに変だよなっ!!」
大熊猫「えっ?! 何の事?」
眠兎「それじゃあれか? 遠くても『ソバ』と同じだなっ!!」
大熊猫「何? 鳥じゃなくて、ソバ? 何いってんの、キミ?」
眠兎「チューカマンは、さしずめあれだな」
大熊猫「エッ? ボクの事、何?」
眠兎「デブチンのバカチンだな」
大熊猫「キィーーーーッ、さっきから何をいってんだ!! オマエなんて殺ってやる。この場で殺ってやる〜ぅ!」
眠兎「ウケケッ。赤くなったらアンマンだよ、これじゃ」
半蔵「…………。この金鉱の何処かに、城へと続く抜け道があるはず。何処だ?」
眠兎「ネェネェ、オッサン何してんの?」
半蔵「ナッ! 何者だ!!」
眠兎「あつくねーの、そんなの着てて?」
半蔵「服部半蔵、一生の不覚! この様な子供に背後を取られるとは!!」
眠兎「くけけっ。オッサンうちひしがれてんのね」
半蔵「キサマ、三刃衆の手の者か?」
眠兎「んとね、夕方の雨って海の臭いがするのね。何で?」
半蔵「何故? と聞かれても、拙者には判りかねるが……」
眠兎「ぜってーするよな、海の臭いってば」
半蔵「そっ、そうでござるな……」
眠兎「ケッ!! そういう煮え切らない態度がこの国をダメにしていくんだよ、分かる?」
半蔵「た、確かにかたじけないでござる」
眠兎「あんね、ミントってばランポーといつか、海の向こうのリューキューに行くの。
いっぺ〜ぇキラキラした魚がいるらしいぜっ!! オジイがいっとったの」
半蔵「もしやそれは、琉球王国の事でござるか?」
眠兎「おう、リューキューだぜ! だから、お金ちょーだい」
半蔵「金でござるか……ってキサマ! 追い剥ぎかっ!!」
眠兎「おう」
半蔵「子供のくせになんていう事を!! 許さぬぞ!!」
眠兎「オッサンてば、変なカッコしてケチンボだよな」
半蔵「変なカッコって……ゆ・る・さ・ん!!」
眠兎「ドクロの仮面のドクロな男!♪ 浮き足立ってやってくるーっ!!♪ その名も快傑ドクロビーン♪ ……ホヘッ?」
無限示「うぬは、我が聖地で何をしている!!」
眠兎「おい〜す、ふんどしマン! しっさしブリブリーッ!!」
無限示「うぬに忠告したはずだ!! 次に我が聖地に進入すれば、キサマの血で洗い清めるとな」
眠兎「ミント、ふんどしマンの歌作ったの。聞きたい?」
無限示「うぬは人の純粋な心を曇らす邪悪な存在だ」
眠兎「ブッリブリ、ブッリブリ、ふんどしマーン♪ ブッリブリ、ブッリブリ、ふんどしマーン♪
あっち行ってブリブリッ!!♪ こっち来てブリブリッ!!♪ だけど〜っ、その髪型ってば〜っ♪ イケテナイ、イケテナイ、イケテナーーーイ!!♪(※かなり繰り返し)」
無限示「白き邪悪な者よ。うぬがいる限りこの聖地に、蝶が舞う日は訪れん」
眠兎「何いってんの? いつもつぶしてんじゃん、自分で」
無限示「キィーーーーエーーーーッ!!!」
命「黒い影……。闇、凶々しい程の漆黒の闇……貴方は、誰?」
命(悪魔)「ダレ? …………。ソナタがワラワを目覚めさせたのではないかえ……」
命「私があなたを?」
命(悪魔)「気づいておろうが、ソナタの血……。闇より生まれし魂……。ソナタの本来あるべき姿」
命「私の本当の姿……」
命(悪魔)「時は満ちた。仮初めの羽は捨てよ。解放せよ。闇を司る者……。それこそが真実」
命「……いや……嫌です。私はあなたなど呼んでいない!!」
命(悪魔)「ナニを恐れる!! オマエはワラワ!! ワラワを解放しょ!! そして、全てを無に帰せ!! そこに真の闇があるのじゃ!!」
命「た・す・け・て……だ・れ・か……」
命(悪魔)「滅ボセ、全テヲ。殺セ、刀馬ヲ」
命「嫌っ!! 誰か私を助けて。このままでは心が壊れてしまいそう……。……………………………………」
眠兎「殿ごらんち〜んっ!!」
命「……………………………………」
眠兎「ほへっ?! 何故に? ……何故に泣いとるの?」
命「……あなたは、誰?」
眠兎「んとね、ミントはミントって言うの、きれいな髪だね」
命「あっ、ありがとう」
眠兎「あんた、ミコトサマ?」
命「どうして、それを?」
眠兎「まりおが、言っとったの。ミコトサマはチョーキレイだって。それにエ〜チチしとる!!」
命「クスッ……ミントちゃんんって不思議な子ね」
眠兎「なに!! ぬねの。けど、なんかミコトサマってば、ランポーとにとる感じがするぞっ! なんでか?」
命「えっ? ランポー?」
眠兎「オウ!! ランポーだぜっ。けどランポーにはミントがおるから、だいじょ〜ぶなのね」
命「そう、あなたには大切な友達がいるのね」
眠兎「ほへっ?! 何それ」
命「私にはそんな友など……」
眠兎「なら、ミントとミコトサマはモトダチッ!! まりおも、ダチトモっす!」
命「……ありがとう」
眠兎「ガンバレットモダチッ!! ……んっ? ぬなっ!!」
命「ウッ!! ま、また来る、黒い影が……。ミント・ちゃん・に・げ・て……。は・や・く……」
眠兎「ヤヤッ。また真っ黒けなのねっ。何かやな感じっ!!」
命「に・げ・て!!」
『ゴゴゴゴゴゴゥッ!!』
眠兎「なんか、ムカチンだぜい!!」
(草原に乱鳳、毬男、遊んでいる眠兎と芽衣、その向こうで杖を振り上げる陀流磨)
陀流磨「うぉ〜い、小鬼達や。もうすぐ来るぞい」
眠兎「オィーース。りょうかいしましまっ!」
(背を向ける陀流磨、その向こうで飛び立つ支度をしている乱鳳と眠兎、近くに毬男と芽衣の兄妹)
乱鳳「オジイも達者でな!!」
陀流磨「ふぉっふぉっ、一度きりじゃぞ。上手く風を読め」
眠兎「まかせてくりくりっ」
陀流磨「ちゃんと乱鳳の言う事、聞くんじゃぞ」
眠兎「オジイものたれ死ぬなよなっ!!」
陀流磨「ふぉっふぉっふぉっ」
毬男「眠兎ちゃん、本当にこの街を出て行くんだね」
眠兎「おう! ブォーーっとリューキューに飛ぶぜい!」
毬男「遠いんだろうな、琉球……。芽衣が悲しむよ……」
陀流磨「オヌシらはまだ若い。行く気になれば何処へでも行ける」
(俯く芽衣を覗き込む眠兎)
眠兎「ぬなっ!! メイたん、哀しい気持ちなのね。何故に……」
芽衣「…………」
眠兎「ミントとメイたんはトモダチだかんなっ。ガンバレ! ダチトモッ!! …………。
なでてつかわす。いい子、いい子」
芽衣「…………」
陀流磨「この子も、オマエが行ってしまうのがさびしいんじゃよ」
眠兎「メイたんもでかくなったら、プニプニするから安心なのね」
芽衣「……う……うん」
乱鳳「……!! 来た!!」
陀流磨「では二匹とも、しっかりと生きるんじゃぞ」
(草原の先の崖から飛翔する乱鳳と眠兎)
乱鳳「あばよ、オレの街!!」
眠兎「みんなトモダチっす」
乱鳳「イヤッホーッ!!」
眠兎「ホヘェーーッと」
芽衣「……ミ、ミントちゃーん! バイバーイ!! メイはお兄ちゃんとガンバルゥー!! いつか……また、いつか……」
陀流磨「……行ってしもうたわい」
毬男「不思議な二人……いや、二匹だ」
乱鳳「きっと、また会えます」
(空中を飛翔する乱鳳と眠兎。歌う二人)
「さあ、この扉(ドア)を蹴り飛ばして♪ 太陽の光浴びよう♪ この街は、オレたちには暗すぎる♪
さあ、月明かりに照らされて進む道を探そう♪ この街にいたら、心が死んでしまう♪」
(琉球王国(沖縄)の海?を臨む岩の上に立つ乱鳳)
「ウダウダしてる暇はないっ!!♪ 邪魔する奴は、ブットバセ!!♪ 誰も示しちゃくれないぜっ!!♪ 自分達で切り開くのさ!!♪ 」
(乱鳳の方へ、捕ってきた魚を示してみせる眠兎)
(※)「闇や怒りや絶望に飲み込まれないように♪ オレたちの場所を探して二匹で飛び出そう♪ 光や夢や幻に流されないように♪
オレたちの明日を探して二匹で飛び出そう♪(※印、かなり繰り返し)」