花房迅衛門
オープニング
ナコルルの登場
五人目
ナコルルの導き(朧衆戦前)
ナコルルの導き(朧衆戦後)
十一人目
ボス戦
エンディング
過去に出逢いし友がいる。その名は覇王丸。
過去に預かりし子がいる。その名は蒼志狼。
そして、幕府の密命が下る。御庭番衆・裏目付を務めて数十年、この密命は只事ではない予感がする。
全てが離天京に集まりすぎている……。迅衛門の長年の経験が、そう語り掛けるのだ。
出立の朝まで、迅衛門は酒杯(さかずき)を片手に飲んでいた。飲んでも飲んでも、酔いどれることはなく、その”予感”も拭い切ることは出来なかった。
蒼志狼が先に門前で待っている。
「……いくぞ、迅衛門」
玄関で草鞋(わらじ)を履きながら、迅衛門はふと己の信条を思い出した。『己が生き方は体でしめせ』。
ここまで、その言葉を信じてやってきた……悩む事などない。迅衛門の顔が晴れ晴れとしている。自分の前を歩く蒼志狼の肩を叩き、
颯爽と抜いていく。
「若頭殿!! 帰った暁には、某と酒でも酌み交わしましょうぞ!!」
ナコルル「お願い……。助けて、暗黒の闇が……。黒い力が……。破壊が……来るの……。
どうか……。あなたの……力で……。邪悪な力を……止めて……下さい。覇業三刃衆を……」
サヤ「あなたね、この辺をかぎ回ってる侍って」
迅衛門「なっ!! なぜにっ!! こんな所にエゲレス人がっ!! ……いや!? オランダ人でござるか?」
サヤ「これだから侍ってキライなのよ。見るからに固そうだもん。その頭」
迅衛門「えっ、あっ、その……です、えず、あ~サムライッ!!」
サヤ「? …………」
迅衛門「あい・おん・ちゅー……でござるか」」
サヤ「アッ? アイ・オン・チュー……?!」
迅衛門「あ~その~。たいむ・いず・まに~?!」
サヤ「……。アラ、ヤダ? よく見たら結構いい男ね」
迅衛門「えっ!! いい男?! …………。そっ、それがしで……ござるか……?!」
サヤ「侍なんかにしとくのはもったいないわね」
迅衛門「なっなっなっななっ!!」
サヤ「まあ、まっかになっちゃって。湯気まで昇ってるわ」
迅衛門「ぐっ!! ぐっ!! 愚弄するつもりかぁ~っ!」
サヤ「さようなら、かわいい人。ちょっともったいないけど……」
ナコルル「私の話を聞いて。私の名はナコルル。光の巫女。あなたにお願いがあるの。
今、あなたの目指している人は、恐ろしい人達の仲間。その人達の名前は、覇業三刃衆。
邪悪な意志を継ぐ恐ろしい人達……。二十年前……。邪悪な意志の元となった人物が現れたの。名前は朧。
その人物は、今の世の中を混乱させて、強い者だけが生き残る国を創ろうとしているわ。
その時に朧は、邪魔になる私たち光の巫女を恐れて封印したの。お願い。私はもうこれ以上うごけないから。
でも、もう一人の光の巫女。彼女ならきっとあなたの助けになるはずよ。彼女はこの先で永い眠りについているわ。
お願い、あの娘を助けてあげて。名前はリムルル。私の妹なの」
朧衆「光の巫女を助けに来ただと。己ごときの力量で我々を倒しに来たとは笑止!返り討ちにしてくれるわ。覚悟!」
ナコルル「ありがとう。もうすぐこのリムルルも目を覚ますわ。貴方が傷つき、先の道へ進めなくなった時、リムルルがあなたの助けになると思うの。
ありがとう……。どうか……邪悪な意志を……滅ぼして……」
(無限示は迅衛門のCPU戦ストーリーモードに二度登場する)
迅衛門「うぬぬっ!! またお主かっ!!」
無限示「わが主よっ! この醜き者に死のくさびをっ!!」
迅衛門「何なんじゃあ、お主はっ!」
無限示「闇よっ!! 我を照らせっ!! 慈悲深き我の道を照らせっ!!」
迅衛門「だからっ!! 何なんじゃあお主はっ!!」
無限示「主よ、その問いの答えは皆無だっ!!」
迅衛門「どぁからぁ~、何者じゃと聞いておろうがっ!!」
迅衛門「やはり、お主であったか? 三刃衆に鬼神の如き剣士がおると聞いていたが……。こんな所で出会うとはな」
刀馬「フン! 今だに腐った世のために励んでいようとはな」
迅衛門「育ててもらった恩も忘れ、親をもその刃にかけた……ヌシには分かるまい。それこそが武士道っ!!」
刀馬「フン、オマエたちには見えない次元もある」
迅衛門「ならばとくと見よ!! 武士の生き方をっ!! これが侍の魂じゃっ!!!」
刀馬「笑止」
(夕暮れの草原で相対する迅衛門と銃士浪)
迅衛門「……おまえが、ワシらの前から姿を消した後……幕府より命が下った。龍巳十四郎……おまえを討ち取れと。
できれば出会わずに……友として一生を終えたかったぞ」
銃士浪「どうしても、やるのか?」
迅衛門「ワシも嘩蓮も、同じ侍じゃ。侍とは主君を守る為に死ぬ。そして、主君は民衆を守る為に生きる」
銃士浪「なあ、迅衛門よ。もし侍が必要の無い時代に生まれ変われたら、もう一度酒を酌み交わそうぜ」
迅衛門「あぁ、約束だぞ」
銃士浪「その為に、オレはオマエを斬る!!」
迅衛門「その時代を築く為にワシもおまえを倒す!!」
銃士浪「……」
迅衛門「……」
(互いに構える二人)
銃士浪「セイヤッ!!」
迅衛門「ドリャッ!!」
銃士浪「……」
迅衛門「…………。……グッウゥゥッ」
(仰向けに倒れる迅衛門、背を向け立ち去る銃士浪)
銃士浪「すまねえな、迅衛門。立ち止まっちゃいられねえんだよ、オレは」
迅衛門「ワシは、もうおまえを追わぬ……。だが聞け。いくら名を変えようと、幕府は、おまえを追い続けるだろう」
(倒れた迅衛門の姿)
迅衛門「行けい、十四郎!! 約束の……時代の為に! ……そして……我らが夢の為に……」
(サヤに膝枕をされながら目覚める迅衛門)
迅衛門「……ウッ……ワシは、確か……斬られたはずじゃが……そうか、十四郎め……。わざと急所を外しよったな……。
んっ? ……サッ、サヤ殿!! ……ウッッッ」
サヤ「いいの、じっとしてて」
迅衛門「かたじけない」
サヤ「行ってしまったのね、あの人……」
迅衛門「うむ、行ってしまいよった」
サヤ「あの人、行ってたわ。『男は夢を追う為に、生まれてくる』って。そして、夢を追い続けてる……。全てを捨てて……。あのね、花ちゃん」
迅衛門「何でござる」
サヤ「何故か女は、ああいう男に惹かれるのよ」
迅衛門「オヌシ……もしや……」
サヤ「でもね、あの人について行ける女は……多分いないわ」
迅衛門「サヤ殿……」
サヤ「女が最後にたどり着くのは、しっかりとつかまえていてくれる男(ひと)よ」
(迅衛門を覗き込むサヤと、慌てる迅衛門)
サヤ「ねえ、花ちゃん……私をしっかりつかまえていてくれる?」
迅衛門「え゛っ!! はっ……はうっ!!」
サヤ「花ちゃん……好き……」
迅衛門「はっ……はう~~っ!!」
サヤ「カワイイ人、真っ赤になっちゃって……」
(迅衛門、出血)
サヤ「って、エッ? 何? ちょっちょっと花ちゃん。血が吹き出してるわ!!」
迅衛門「ガクッ!! …………」
(二人の引き)
サヤ「キャッ!! しっかりして! ねえ、花ちゃんてばぁ!! ねえっ……ちょっとぉ~~~~っ!!」