サムライスピリッツ斬紅郎無双剣 作曲者コメント

今回で三度目の「サムライスピリッツ」と言う事で私なりに考えた結果、

「今まで以上に確立された個々の世界観が入り乱れる事によって作り上げられる全体像」を常に頭に置き、

作曲&SEの作成を行っていくことが今回の成功のカギだという結論に達しました。

口で言うのは簡単なんですが、実際それを形にして行くのは決して簡単じゃない訳で、

この私の思惑に苦労して泣きを見たのがMARIKO嬢、MITSUO嬢の美女(?)二人。

この異色トリオの珍道中はといいますと、一歩進めば立ち止まり、二歩進めばそこは壁、

散歩進めば落とし穴、と言ったような具合で具合で地道に一つ一つ障害を乗り越えてきました。

時には鬼と言われながらも、決して感情に流されずキツイ言葉を彼女たちに浴びせかけ続けた

あの頃をとても懐かしく思います。

ゲームが完成した現在、自分たちが納得できる作品に仕上がり私達三人は最高に満足しています。

きっと皆さんにも満足して頂ける事と思います。

TATE_NORIO



桜並木を抜けるとそこは「侍魂」の世界だった・・・。

みなさんこんにちは、MARIKOです。

今回はこの風光明媚な「侍魂」の世界をより幻想的に表現できればと思い、

いつもとはまた違った趣向で曲を作ってみました。

天草に対しては彼の狂態を、右京に関しては彼の病に対する悲しみを。

骸羅は夏の終わりに感じる寂しさのようなものを表現したつもりです。

この世界の中でどのような戦いがくりひろげられるのか非常に楽しみです。


MARIKO



こんにちは、MITSUOと申します。

「侍魂」という特殊な世界観をどう表現したら良いか、私にこの曲が作れるのか・・・

という事ばかり考えながら(口に出したらTATE氏に怒られる)作曲していました。

前回の素晴らしい曲の後なのでとても緊張しましたが、

そのイメージをなるべく壊さない様に心がけて作曲したつもりです。

実際その事で一番苦労したのですが、この苦労をバネに今後も頑張って行こうと思います。


MITSUO


祝発売 サムライスピリッツ斬紅郎無双剣〜サムライスピリッツとわたし〜

それは、秋とは名ばかりの、まだ熱気が残るある日のことでした。

上司K部長に命じられて、できあがったばかりのフィルムとVTRテープを抱えて新幹線に飛び乗り、

一路大阪へ。TVアニメ「サムライスピリッツ破天降魔の章」の初号試写です。

「試写なんだから担当プロデューサーのYさんが行けばいいじゃないですかぁ」

「Yは編集室で屍になっている!とにかく来い!」というわけで、試写室。約80分後。

「まぁこんなもんとちゃう」「ええですか?」「右京の扱いはちょっとあんまりやなぁ」

「えらいすんまへん。しゃぁなかったんですわ」という声に混じって、

「将軍は一番偉いんやから裃つけへんで」という厳しい指摘!!

その声の主は、SNKの開発担当役員という偉いさんでした。

(お!この人は見るべき所を見てるぞ。流石に侮れないヤツ)と他人事のように思っているところへ、

「あんたが生田さんか。RPGの件、よろしく頼んまっせ!」(エッ。聞いてないよぉ)

その日が運命の日でした。


性格的にも造形的にも、相当無茶なキャラクターが、モニターの中でむちゃくちゃに暴れて、

マシンの処理もかなり無茶!それがサムライスピリッツです。

スタッフを集め、シナリオを練り始めてから1年強。試写の時には影も形も無く、「ぼちぼちやってます」と

聞いていた「サムライスピリッツ斬紅郎無双剣」が先に完成してしまいました。(全く、無茶なスタッフです)

あれぇ。

真サムライスピリッツをベースに設定し、その延長線上でサムライ3(斬紅郎のことね)とRPGを考えていたわれわれのイメージとは、

ちょっと違ったものがそこにあったのです。

「ずいぶんヘヴィーですね?」

「エエ、重いッス!」

「ちょっとダークな感じですね?」

「ハイ、めっちゃ暗いッス!」

「狙ったんですか?」

「こうなっちゃいました!」

確かに”サムスピ3仕様企画書”と違ったものができてきたという訳ではないけれど…

(皆さんも最初に見たときには驚いたのではないかな?)

かくして、RPGスタッフは人物相関図とキャラクター設定を書き直し、セリフ集を練り直し、

グラフィックのパレットを見直し、キーイベントを作り直して…ゴールがちょっと遠のいてしまったのでした。


このCDをお聴きのみなさんは、当然、斬紅郎世界にどっぷりはまっていることと思います。

収録されている音楽も、ドラマも、設定小説にいたるまで、「本格」的な時代小説・剣豪小説の趣が感じられるではありませんか!

サムライスピリッツシリーズは格段にパワーアップしている!と嬉しくなってしまうのです。

(反面プレッシャーも大きくなったんだけどね)

斬紅郎無双剣を追体験するとともに、RPG『真説サムライスピリッツ武士道烈伝』の前フリを覗ける!

というこのオイシイCDが、みなさんの愛聴版となることを願いつつ…(RPGはもうちょっと待っててね)



1995年暮

サムライスピリッツRPGプロジェクト プロデューサー 生田英隆



〔サムライスピリッツ斬紅郎無双剣 曲目紹介〕

剣の魂(タイトル)

まずはこの曲から侍魂の音物語が始まる訳ですが、前作までとは違い躍動感あふれるつくりになっております。

この一曲だけを取り上げて聴くのも良いとは思いますが全体の中の一部として耳を傾けると、よりいっそう楽しんで聴いて頂けると

思います。どの曲も自身作ぞろいですが、この「剣の魂」なくして侍魂の世界は始まらないでしょう。


TATE_NORIO


精進の滝(ガルフォード)

青い目外人ガルフォード(あたりまえか)サムライスピリッツシリーズではすっかりレギュラーメンバーですね。

ゲームの進化とともに曲もどんどんグレードアップしています。グレードアップと言葉にするのは簡単ですが、

これを実際に行うのはとても大変なことなのです。

またこの曲に限らず他のレギュラーメンバーの曲も色々な進化をとげています。前作、前々作等を色々聴きくらべると面白いと思います。


PAPAYA



川(橘右京)

静かな川に浮かぶ舟・・・そこにたたずむ一人の美青年を見たとき彼女の中を尺八の旋律が駆け抜けた。

その後、彼女は一日でこの曲を作り上げたらしい。大変な入れ込みようである。いいかえれば橘右京はMARIKOさんの

心を捕らえた数少ないキャラクターの一人である。

静寂の中を縫うように流れる尺八の旋律と太鼓の鼓動にに彼女のそんな気持ちが表現されていると私は思いますが、みなさんは

どう思われますか?


Ackey



鬼唄(牙神幻十郎)

一言でいって私はこの曲に「凄味」というものを感じます。私はこの曲のベースパートを演奏したのですが、

録音中、作曲者の内に秘めた闇の部分の魂が曲となってこの世に姿を現し、牙神幻十郎がしかとこの曲(その魂)を受け取り、

人を斬る・・・言葉にすればこのような幻想が私の頭の中に現れ、「凄味」というものを見せつけてその幻想は消えていきました。

私の勝手なイメージだったのですが、なんか怖い思いをしちゃいました。

PAPAYA



男酒(覇王丸)

静寂の中から浮かび上がってくる笛、太鼓。それは静寂と共に新しい空間を生み出し、やがて荒々しく静寂を支配してしまう。

そして再び静寂が・・・。これぞ武士道とみつけたり! 覇王丸のテーマであるこの曲は「楽曲」前後の「音」のないところも聞いてください。


KONNY



獄(服部半蔵)


前作では荒れた広野、今回は地獄の谷底といった感じのステージに登場する半増ですが曲の方も前作のもの悲しい感じから

地獄のおどろおどろしい感じに変わっての新曲となりました。

曲の構成は前作同様、和楽ですが今回はかなり不気味なアレンジになっており尺八の奏でる緊迫したメロディーに、

迫力のある太鼓、金物、それに琵琶。和楽に眠る闇を引き出した曲になっています。


YAMAPY_1



三途の嘆き(首斬り破沙羅)

迫りくる! 迫りくる!! まさに「首斬り破沙羅」を描写した曲ではありませんか!!

バックと尺八の目の回る掛け合い、怪しい雰囲気をかもし出すピアノのフレーズ、どこを斬っても「恐ろしいー!!」

私(SHIMIZM)がこの曲を最初に聴いた正直な感想です。

ところで「TATE_NORIO氏!」「・・・」しめしめ彼は今ここにいないようですね。では今のうちに、

「曲というのは作曲者の性格がもろに・・・」バキ!!「あれ?そこにいたの・・・ハハハ」(懐かしー、このネタを知っているあなたは新世界通だ!)


SHIMIZM



風、薫る(緋雨閑丸)

ズズズー、は〜〜。いやー、日本ですねー。いいですねー・・・。

この曲を聴いていたら子供の頃の事を思い出しました。(忙しい中、TATE_NORIO氏は、いつこの和やかな曲を

書いているのだろうか?)

「あ! 雲雀が飛んでいる。」



舞闘劇(黒子)

あなたは黒子と闘った事がありますか?普段は裏で活躍している彼ですが、いざ表舞台に出てみるとこれがまた強い!

その黒子のテーマがさらにパワーアップしてまいりました。

荘厳な弦とピアノの響きに続きロックのリズムに乗って笛と弦が交互に旋律を奏でます。

どうです、彼の熱い心が伝わってきましたか?

熱い闘志を感じさせるこの黒子の世界にたっぷりと浸ってみて下さい。


きょーちゃん



宴舞(千両狂死郎)


今回の狂死郎は、前回からかなりスタイルが変わっています。それにつられてか(?)曲のほうも前回とは全くの

正反対な曲調に仕上がっています。さしずめ前回が「動」だとすれば今回のは「静」感じでしょう。

狂死郎は相変わらず「動」ですけど・・・。

この曲を聞けば、貴方の背後に憧れの(?)ガマ蛙が大きな口を開けて歌舞伎の世界に誘ってくれることまちがいなし!!


Yassun



寺(花諷院骸羅)

かごめかごめ、古くからわれわれになじんでいるこの歌に隠された恐ろしい逸話があるのは広く知れ渡っていますが、

その逸話をモチーフに歌、鐘、そして環境音といった素材を使用してアレンジされたこの曲は、一言で表すならば、

静寂の中の恐怖といった感じでしょうか。

アレンジ中に製作者の周りにおきた休日返上・睡眠不足といった数々の怪奇現象。この曲を最後まで聴いたあなたは、後ろを

振り向けない・・・。


TATE_NORIO



自然の息吹(ナコルル)

この曲を創っている時の私は、TATE氏に捨てられ、叙情派KITAPY氏の所に転がりこみ、PAPAYA氏に拾われる、

という肩身のせまい毎日・・・。その上「自然を守る為に戦わなくてはいけないナコルルの気持ちを、ピアノで表現したい!」

という私のわがままに、きょーちゃんまで巻き込んでしまいました。でもナコルルの気持ちが伝わる良い曲ができたと思います。


MITSUO



心の鏡(リムルル)

大自然を守るお姉さん(ナコルル)と同じ使命感を持つリムルル。幼いながらにも、体全体から生きるたくましさをかもし出している

感じがしますよね。一生懸命戦っているリムルルが目の前に浮かび、けなげさと切なさが伝わってきます。

メロディーラインにヴァイオリンをもってきたのは、そういったビジュアル効果を狙っているのかも知れません。

やっぱり彼は、夢見る少年。私のことを”ドラマっ子”と言いますけど、結構、いや絶対彼も見てますよねぇ。

Macky



狂態(天草四郎時貞)

狂った怨霊に操られ、狂態を演じる天草。この曲を創っている間、私も半狂乱のような状態になり非常に苦しみました。

あるときは生きる事への希望と喜びで体が震え、ある時は絶望の闇の中で立ち上がる気力も無く蹲っていました。

この様な状態が一つ一つのフレーズになり、この曲に更なる色を加えていく結果となった様な気がします。


MARIKO



最後の刃(壬無月斬紅郎−一)


この間合いがいつもながらたまりませんね。次に出てくる音は何だろうかと想像していると、予想に反してピアノが襲ってきたり、

尺八が襲ってきたり、作曲者の頭の中はどうなっているのでしょうか。

夜、一人でこの曲を聴くことが、もし、あるならば、電気を消して真っ暗の中で聴いてみて下さい。

得体の知れない何かが出てくるかもしれませんよ。私だったら、1秒たりとも我慢ならないと思います。あーこわい、こわい。

PEARL SHIBAKICHI



無限(壬無月斬紅郎−二)

最近、まったくペンネームを無視した局を生み出し続ける、たて・のりお氏の入魂の1曲である。

激しく、混とんとしながらもドラマチックに展開する曲想は、まさに我が子を手にかけてまで鬼になろうとした斬紅郎の

心象風景のようだ。なるほど、最近疲れた(憑かれた?)顔をしていたのはこういう曲を書いていた所為なのね、と妙に

納得してしまった。

斬紅郎の心の叫びを聞け!憑かれたら俺が除霊したる。


Brother−Hige



祭り流れる

やっぱりこのBEATが無ければ侍魂は成立しないでしょう。「祭りシリーズ第三弾!}(ザ・サンセットスカイに続け!)と

言う事で今までより更に洗練された「祭り」を皆さんに期待されているとは思いますが、TATE流の祭り囃子は最高のミュージシャンの

演奏により、最高に素晴らしい楽曲に仕上がったと自負しております。


TATE_NORIO



あふれる想い〜氷の妖精〜

今回のリムルルの歌には、大自然の広大さやきびしさ、その中で暮らす人たちの伸び伸びとした生活、太陽が朝昇って

地平線に沈む、そんな繰り返しをリムルルの元気一杯のナチュラルなメッセージで伝えようと、個人的に結構思い入れしました。

近頃、人が忘れてしまっている大切なものを、少しでも取り戻すことができればと心から願っています。


叙情派KITAPY