サムライスピリッツ零・公式ストーリー参


萬三九六  黒河内夢路  兇國日輪守我旺  パピ




萬 三九六


〜設定〜

力こそがすべて!

三九六はその馬鹿力と悪知恵で、世の中を渡り歩く男。

天下に響く剣豪の名をかたることもあった。己が危うくなれば即座に寝返り、保身を図ることもあった。

油断した相手を銃で撃ち殺したこともあった。そのほかにも―――例えを挙げようにも、あまりに多過ぎる。

おおよそ侍とは程遠い卑怯な生き様の男。それが三九六。



〜物語〜

子分とともに山賊を生業にしていたが、我旺が日本全土よりますらおを集めているという話を聞きつけ、参加する。

我旺の命令で夢路とともにますらおを集めているが、すきがあれば金品を奪って逃げようとたくらんでいる。




黒河内 夢路

〜設定〜

夢路は武道の名門・神夢想一刀流の家系に生を受けた。幼いころより師である父親に剣術を教え込まれ、

その天賦の才を見せる。だが、生まれつきの身体的な問題により、15歳の時、家を追われる。

家を出た夢路は人と接することを拒みながら生きてきたが、我旺との出会いにより、自分の進むべき道を見つける。

性格は穏やかで、礼節をわきまえ心を乱すこともない。だが、何かに依存することで精神を支えているために、

精神的に脆い一面もある。



〜物語〜

心酔する我旺の命により、日本全国からますらおを集めている。

しかし、神夢想一刀流を揮(ふる)う夢路の目にかなうますらおとは、滅多に出会うことはない。




兇國日輪守 我旺

〜設定〜

日輪國の領主。

大飢饉により高配した国土を憂い、不甲斐無い幕府に激しい憤りを憶えている。

日本をより強い国に鍛えなおし、国外に領土を広げていくことが、真に日本の未来のためになるとの強い信念を持っている。


〜物語〜

國が哭いていた。

思い起こせば、十字槍を手にして幾星霜―――。駆け巡った戦場は数知れず、浴びた血も流した血も夥しく、

幾重にも築かれた死屍の山を乗り越え、今という刻を得るに至る。

何の為に。それは、天下泰平の世を夢に見て。

豊かな國を築く大儀を掲げて、戦で無駄に民草が散る様へ感じた矛盾と憤りに歯噛みして、それでも戦い続けたのは―――何の為に。

飢饉に苦しむ民草を放置し、豊かな江戸に将軍家が左団扇で過ごす為では断じてない。

この掌は、多くのあらゆるものを得てきた。しかし、指先からは得たはずのあらゆるものが零れ落ちていく。

望んだものは、霞の如く。

その甲冑の如く硬き両手には、この十字槍しか掴むことは叶わない。

―――三途を逝こうぞ。

火途に魂を焦がされようとも、血途に身を削がれようとも、刀途に落魄しようとも、

この鬼十字は血塗られた修羅の道逝く詮無き愚者。血の色と匂いに染め上げられたこの身なれど、

願わくば、艶やかな紅に彩られた最期であれ―――。

その武将は覇を唱え、天に吼える。

「ますらおよ!我の元に集え!」

時に一七八六年。後の世に言う、黄泉ヶ原の乱―――賽は投げられた。




パピー

〜物語〜

「何だか分からない悪者め! この子の未来を奪う権利がどこにあるっていうんだ!」

躊躇することなどなかった。ガルフォードは禍々しさに満ちた光の柱へと飛び込み、

捕われていたパピーの子供をその腕に抱き締める。

上空の暗き雲の隙間より、歪な光の門が邪悪な意思を従えて見下ろす。

光の柱とともに、ガルフォードはそこへと吸い込まれていく。

もがいても、あがいても、何一つ思うようにはいかない。

「Shit! 抜け出せない! 何て力だ! こうなったら!」

力任せにガルフォードは身体を捩り、パピーの子供だけを光の外へ放り投げる。

パピーがしっかりと我が子を受け止めたことを確認すると、 ガルフォードは微笑む。

「悪には正義の裁きを! 子供たちには未来を!」

満足だった。自分はともかく、大切な親友パピーの子供を救うことができたのだ。

ただ―――満足だけではない。あきらめに似た感情が、ガルフォードの中で渦巻く。

故郷の家族にもう会えないかもしれない。大好きなジャパンの平和のために、もう戦えないかもしれない。

―――悔いがないといえば、嘘になる。

「サヨナラは言わないぜパピー! 正義の使者は必ず復活する!」

しかし、ガルフォードはいつもの満面の笑顔をパピーに向ける。

どうしようもない恐怖に震える奥歯を噛み締め、 真っ直ぐにパピーの瞳を見つめる。

苦楽を共にしてきた親友に、恐怖に歪んだ顔など見せられるものか――――――。

「パピー! 正義の為に生きてくれ!」



パピーは思う。サヨナラなんか聞きたくない。

パピーは絶対に忘れない。大好きなご主人の笑顔を。

パピーは誓う。今こそ、己の信じる正義のために―――――。