侍魂
《コメント》
従来からのおなじみのキャラに加えて、個性豊かなキャラが加わり、ますます深みを増した感のある「侍魂 サムライスピリッツ」ですが、
サウンド面も今までの世界観を保ちつつよりよいサウンド演出を考えながらサウンドスタッフ3名で作成していきました。
MUSIC関係では、各キャラのイメージに合った曲を作成していきましたが、今までの曲のリ・アレンジやおなじみの和物曲、
そしてマニアックな新曲までバラエティに富むサムスピの世界観を表現したつもりですがいかがでしょうか?
(一部製作者の趣味が入っていますので御了承下さい。)
効果音に関しては、格闘ゲームの爽快感というところとサムスピならではの音(体が斬られても、いわゆるブシュッとかではなく
三味線の音が鳴ったりとか)を意識しての作成となり、違った角度で物を観ていく(音を聴く)事が要求される作業となりました。
(ちなみに某バラエティー番組で、某タレント扮するお殿様がキレた時に尺八がなるあの音の演出効果には今回も色々とヒントを
与えてもらっていますね。)
又、音声も企画スタッフと共に考えながらの収録で、特にラスボスの収録時には、アジアンパワー全開?
(詳しくは後日談にて)で挑むといった私たち自身が本当に楽しみなやからがらの作業となりました。
(収録後、タイ人の経営するアジア料理店に食事に行き、味を満喫し「これがアジアだ!!」と最高の時を過ごしました。)
今回は音質、音数ともにパワーアップしているのでよりやりたい事を表現出来たのと、ゲームの音を作る楽しさをあらためて
認識させてもらったので、皆様もこの我々スタッフの力作を、楽しんでいただければ幸いです。
YAMAPY_1でした。
壱 侍魂
●今回のタイトル曲を作る前
プランナー(以下P)「何か今までのサムスピと違う感じで曲を作ってや…
ほら尺八とか三味線とか、そんなんは使わんとディープなやつでドーンとね!!」
「ああ、そんなん好きやからOKです!」
●曲が出来た後
P「うーんどうかなぁ? アンチ侍反応ってあると思うんやわ、
やっぱサムスピって感じの音で何かやってもらわれへん?」
私「…・・・」
我々は、日夜こんなやりとりをしながら作業を進めていくのです。
YAMAPY_1
弐 精進(覇王丸)
後に受け継がれるような曲をと(いつも気合いだけは一人前)、意気込んで作りました。
やっぱり覇王丸といえば三味線でしょう、ということでギターでいうところのリフを
三味線に組み込んでやれと、またまたちょっと普通の三味線とは違うことをやってみました。
名づけて「ぎたじゃみ」(おもろない)、「じゃみりふ」(泥沼)。
とにもかくにも、全くの純和物ではない雰囲気が気に入っています。
叙情派キタピー
参 四季(ナコルル)
この曲は過去幾度となくアレンジが繰り返されてきたわけですが、テーマはやはり「大自然」
ですね。私なりに前アレンジをかみくだいて吸収して、心機一転だー。ということで、
今までナコルルが暮らしてきた世界を広げる意味を込めて、素朴さに加えて壮大な
(ナコルルの世界が草原から少し広がったような)感じを出したいなーとイメージを決めたんですが、
素朴さと壮大さのコントラストがちょっと難しかったー。
叙情派キタピー
伍 夢想(橘右京)
琵琶、どこか人の情念を感じさせる楽器で、その音のニュアンスを打ち込みで表現するのは非常に難しい
楽器だと思います。が、しかし……
「たて氏!」「これはこれは、やまぴー壱様。何か御用でございますか」
「いや、おぬしに琵琶の打ち込みを頼みたいのじゃが」「嫌でございます」「金ははずむぞ!」
「嫌でございます」「これでどうじゃ」「嫌でございます」「え〜い、これほど頼んでも首を縦に振らぬかぁぁぁぁ!」
「ぐふっ!うわぁ!ごほっ!……」こうして「打ち込み琵琶法師、たてのりお」が誕生したのである。
TATE_NORIO
六 鬼唄(牙神幻十郎)
ゲーム中では背景によって、前半の小唄部と、リズムが入ってくるところからを分けていたのですが、元々は
このアレンジの様に一つの曲として作ったものです。この曲を作る時、私は幻十郎の中にある
静と動を表現しようと、静の部分に小唄を入れようと考え「天草降臨アレンジサウンドトラックス」に入ってる
幻十郎のドラマのイントロの台詞を引用し、今回リムルルの曲を担当したMITSUO嬢に歌ってもらいました。
彼女の歌声に私はソウルを感じました。テイクも一発OKで収録!!
この歌の様に他の仕事でも一発OKでこなしてくれる様、私は彼女に望みます(笑)。
YAMAPY_1
七 焔(風間火月)
ゲーム中では品の無い言葉で、元気にあばれてくれる火月くんですが、曲の方も元気が出る様、
ドラム、ベース、ギターのアコースティックトリオを中心にパーカッションを加え
シンプルに、そしてグルーヴィーにアレンジしました。皆さんも、朝目がさめたらこの曲をPLAYし
アコースティック楽器がくりだすグルーヴ感を体に感じ出かけましょう。
ちなみに私は朝が超が付く程めちゃくちゃ弱いです。
YAMAPY_1
八 露(風間蒼月)
通常、曲をアレンジする場合は「この曲をアレンジするぞー」とかなり気合を溜め、
自分を効用させながら取り組むのですが、和物の場合、気合いを入れつつ自分を必要以上に静めないと
曲が見えてこない事が分かりました。この感覚は弓道などの精神によく似ているのではないでしょうか?
あらためて日本文化の奥深さを思い知らされましたなー。うーん、まだまだ修行が足りん!
SHIMIZM
九 Hi Tension(ガルフォード)
一度奇抜なアレンジをしようと思いつつ、結局もとのさやに収まるのでした。
んー、やはりオリジナルのイメージを変えるのは難しい、というのを実感する今日この頃です。
しかーし、今までとは違う(ちょっと)構成をためしてみたので、前アレンジバージョンと
聞き比べてみてもおもしろいかも? 実は、よく聴くと結構違うのだ。
叙情派キタピー
拾 刻印(柳生 盤馬)
サムライが64になっての新キャラクターということもあって、とても楽しみながら曲をつくることができました。
どんな風にかというと、真っ白なキャンパスを様々な色でうめていくような感じですね。
すんなりとイメージやアイデアがわいてきたのは実は久しぶりなんですが(結構めずらしい)、
それはたぶんなんとなく柳生盤馬というキャラクターとっつきやすかったからなんだと思っています。
叙情派キタピー
拾壱 闇(服部半蔵)
ゲームでは、半蔵屋敷の地下1階に落ちた時になっている曲です。つまり、地下に落ちないとこの曲は
聞けないわけ。しかも、曲全体が暗いうえ、静かな曲なので注意してないと聞こえない……。
なんて存在感のない曲なんでしょう!(この曲を初めて聴く人も少なくないはず……。)
でも、それって半蔵っぽくていいと思いません?
みつお
拾弐 漆黒(色)
ユガに操られ苦悩する色、そんな彼女の曲は、前半はリフレインされるフレーズで静かに始まり、
中間部では苦悩する色をSEのコラージュで表現しその後、彼女には救いが来るといった構成で
作ってあります。この曲は、コーラスとオーケストレーションの部分を叙情派キタピーが、
中間部とSEのコラージュを私が担当し2人の共作として仕上げました。
中間部での色のつやっぽい声をぜひ聴いて下さい。色に技をかけられたい今日この頃です。
YAMAPY_1
拾参 巌陀羅(ガンダラ)
斬っても斬ってもひたすら突き進んでくるガンダラ!!この曲はけだるいビートに様々なパーカッションをからめて、
それを反復させるアレンジで何をしようが、ひたすら突き進んでくるガンダラの威圧感を表現してみました。
この様なゆっくりと同じフレーズが繰り返される曲調は、私が最も好む音で自分でこの音に酔いながら
楽しく作業していきました。さて、このガンダラですが、ゲーム中に特定の条件を満たさないと登場してくれません。
私は〆切も近づき忙しいある日、プランナーから「ロケでガンダラが出てるでぇ、あれは1回見に行ってきぃや」
と言われ見に行ったのですが、1時間待ってもガンダラは登場しませんでした。
その日、私はいつもより多く残業をする事になってしまいました…。
YAMAPY_1
拾四 陰陽(ユガ)
ユガはゲームの企画段階から個人的に思い入れのあるキャラで、このゲーム中最も好きなキャラです
(でも全然勝てないのはつらいけど…)。そんなユガのアレンジは、好きなものには全てをさらけ出せという
私の理念に基づき、やりたい様にやっています。前半はけだるく進み、後半にテンポが上がって
アッパーになるこの曲は、朝弱く夕方から元気になる私と同調しています。
ちなみにユガの背景にはインドがあり、私も近いうちにインドに行き、よりユガの深い所に同調しようと思っています。
YAMAPY_1
拾伍 終幕(エンディング)
今回のサムライのエンディングでは弦のアンサンブルに和物をフューチャーするという新しい試み(かな?)をしました。
あっ!いい感じやんと自画自賛しております(よく自分で自分を勇気づける癖がみうけられる)。
ひとつになった弦と和物の織りなすクラシカルな世界観を堪能してもらえたらめちゃめちゃハッピーです。
叙情派キタピー
拾六 笑顔でいるよ
今回のアレンジでラッキーな事がひとつあります。なんとリムルルに私が書いた曲を歌ってもらっちゃいました!
私って幸せ者!(曲書いた苦労なんかどっかに吹っ飛んじゃうね。)
リムルルって、とっても可愛いから大好きなんです!
もちろんキャラクターも声も大好き! その可愛いリムルルに歌ってもらえるなんて、めっちゃハッピーです。
まぁ、とりあえず聞いてみて! どうです? すごくいい感じに出来上がってるでしょう?
四曲目の「紗雪」もぜひ聞いて下さいね。